『八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。』 天沢夏月 私としては『拝啓、十年後の君へ。』以来の天沢夏月さんの作品。 shiyunn.hatenablog.com 「夏の終わり」ではなくて、「八月の終わり」というところが本当によい。 自身の高校生時代の夏休みを…
『神さまのビオトープ』 凪良ゆう 作品を刊行される作家さんが本当に幅広く、毎月講談社タイガからどんな作品が出るのかチェックするのが私の楽しみのひとつ。 今回の『神さまのビオトープ』も刊行予定作品としておよそ1か月前から取り上げられていた時から…
『夜桜荘交幽帳 さよならのための七日間』 井上悠宇 五感すべて及び第六感で「多分これ、好きなやつかもしれない」と感じ取って手に取る枠。 書店とかネットとかでぼんやり眺めてると、時々もとい稀によくあるやつ。 こういう時、その衝動に実際に従うかどう…
『リリエールと祈りの国』 白石定規 どんなものでも大聖堂に捧げられた祈りは成就してしまうという不思議な都市を舞台にした物語。 主人公のマクミリアは、何故だか仕事が長続きせず解雇されてしまい、空腹に行き倒れていたところを「戒祈屋」を営むというリ…
アニメ「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」――通称「あの花」があまりにも好きすぎて、本書を手に取って読んでみた。 その他にも「とらドラ!」だったり「花咲くいろは」だったり「凪のあすから」だったり、気が付けば私の心に残っている作品の中に…
『プールの底に眠る』 白河三兎 自身を取り巻く状況や心の持ちようはいつだって同じじゃないし、その時々によって大好きな小説は変わりゆくものだけれど、「今好きな小説は何?」と訊かれたならば間違いなく3本の指に入るこの作品、『プールの底に眠る』。 …
『オリンポスの郵便ポスト』 藻野多摩夫 書店で見かけて、この物語はもしや私の好きな要素がぎゅっと詰まっているのでは......? と思い始めて、そうなったら棚に並ぶこの本がぴかぴか光ってもう目が離せなくなる、いつものやつ。 今までに読んだ、すきだな…
『十代に共感する奴はみんな嘘つき』 最果タヒ 最果タヒさんによる小説。 まずこの『十代に共感する奴はみんな嘘つき』というタイトルに撃ち抜かれる私。 表紙デザインも相まってサイコー。 「十代に共感する奴はみんな嘘つき」というフレーズを目にするのは…
『か「」く「」し「」ご「」と「』 住野よる 同じ高校に通う5人の物語。 この5人には他人には言えない「かくしごと」が――人の感情の動きが記号的に見ることができという。 もちろんこの能力のようなものだけが「かくしごと」なのではない。 人間関係だった…
『少年と少女と正しさを巡る物語 サクラダリセット7』 河野裕 新装版サクラダリセットシリーズ、最終巻。 前回、能力の存在をすっかり忘れさせられてしまった咲良田の住民。 その中で唯一記憶がある浅井ケイは未来のために、どのような行動を起こすのか。 こ…
『ひきこもりの弟だった』 葦舟ナツ 帯の(私の好きな作家のひとり)三秋縋さんの推薦文とそれにまつわるTwitterの呟きもあって、ここ最近で発売を楽しみにしていた作品のひとつ。 葦舟ナツさん著『ひきこもりの弟だった』の推薦文を書かせていただきました…
『装丁室のおしごと。~本の表情つくりませんか?~』 範乃秋春 タイトル通り、帯を含めた本の装幀デザインを扱う出版社の装丁室の物語。 今作の表紙にも遊び心たっぷり。 こういう本にまつわる物語見つけるとすぐに飛びついてしまう......。 特に製本とか表…
『君は月夜に光り輝く』 佐野徹夜 loundrawさんのイラストがきれいな、第23回電撃小説大賞受賞作。 高校生になった主人公の少年は、岡田卓也は、「発光病」という病で入院中の少女、渡良瀬まみずと出会う。 発光病――月の光により体が淡く光り、死が近づく…
『少年と少女と、 サクラダリセット6』 河野裕 新装版サクラダリセットシリーズ6作目。 シリーズ作品も残すところあと7巻を残すのみ、というところまで来るといよいよ大詰め、という気がしてきます。 今回の物語は最後の締めを迎えるための準備のようなお…
『おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱』 オキシタケヒコ 初めて読む、オキシタケヒコさんの作品。 もともとtoi8さんのイラストやネット上の評判で気になって同著の『筐底のエルピス』の1巻を大事に大事に積んであったのですが、もだもだしているうちに別…
『感情8号線』 畑野智美 畑野智美さんの作品ということで文庫化を機に。 環状8号線沿いに住む、恋愛ごとに心悩ます女性たちを描いた物語。 今まで畑野さんの作品をいくつか読んできたのですが、その中でも群を抜いてぐさぐさと刺さる作品でした。 あまりに…
『最良の嘘の最後のひと言』 河野裕 よもや河野裕さんの作品が創元社推理文庫から刊行されるなんて夢にも思っていなくて、第一報を目にした時にはとてもわくわくしました。 物語の内容はコンゲーム――登場人物たちが騙し合うミステリ。 私の中で河野さんの文…
『BISビブリオバトル部2 幽霊なんて怖くない』 山本弘 BISビブリオバトル部シリーズ2作目。 本を他人に紹介するビブリオバトルを扱った物語ということで、読んでるとどんどん他の色んな本も読みたくなります。 はー、今回もめちゃくちゃ堪能しました。 気…
『日曜は憧れの国』 円居挽 カルチャーセンターの講座で出会った4人の中学生の成長を描いた5編の短編。 それぞれ生きづらさや悩みを抱えている少女たちは、講座やお互いのやり取りを通して少しだけ前を向ける力を得てゆく。 日常の謎、という形でミステリ…
『臨床真実士ユイカの論理 文渡家の一族』 古野まほろ 初めて読む古野まほろさんの作品。 天帝シリーズや、メディアワークス文庫から出てる紅茶屋さんのお話も気になっている中、とりあえずは講談社タイガの作品を、と。 おんみょう紅茶屋らぷさん ~陰陽師の…
『盲目的な恋と友情』 辻村深月 私の中で辻村深月さんの作品は、爽やかな青春物語と後ろ暗いどろどろとした人間関係を描いた物語、大きくふたつに分けられるのですが、今回は後者。 山本文緒さんの解説にも書かれている通り、盲目的な恋と、盲目的な友情の物…
『押絵と旅する美少年』 西尾維新 講談社タイガより美少年シリーズ、4作目。 このシリーズ、謎が発生して解決、という流れが本当にシンプルで、登場人物も独特で、一冊当たりのページ数も多くないのでさくっと読めて、よい。 巻を追うごとに美少年探偵団と…
『月とライカと吸血姫』 牧野圭祐 宇宙や吸血鬼を扱った物語ということ、著者の牧野圭祐さんが「ペルソナ5」のシナリオチームの1人ということで読んでみることに。 ガガガ文庫の吸血鬼(ノスフェラトゥ)というと『さびしがりやのロリフェラトゥ』を思い出し…
『路地裏のほたる食堂』 大沼紀子 『真夜中のパン屋さん』の大沼紀子さんの新作が講談社タイガから出るということで。 『真夜中のパン屋さん』シリーズに関しては、話題になって平積みされているのを見かけて手に取ったのですが、個人的にビブリア古書堂シリ…
『青空のむこう』 アレックス・シアラー 訳:金原瑞人 年末年始に実家の本棚を整理していた時に、懐かしかったり興味深い本の写真を何気なくTwitterにアップロードしてつぶやいたのですが、その中にアレックス・シアラー作品がありまして。 好きでよく読んで…
『セルフ・クラフト・ワールド 1』 芝村裕吏 toi8さんのイラストが好きすぎてというのと、オンラインRPG(MMORPG)を扱った作品ということでとっつきやすそうだという理由で。 オンラインゲーム世界では、人工生命が存在しており現実世界よりも時間の進みの…
『自由なサメと人間たちの夢』 渡辺優 作者由来でもイラストレーター由来でもなく、なぜだか上手く言えないけれど、書店で見かけたときにぎゅっと心を掴まれる作品が時々ある。 装丁の具合だったり、タイトルの響きだったり、あらすじだったり、そういうもの…
『少年Nの長い長い旅 02』 石川宏千花 講談社タイガより刊行されている『少年Nのいない世界』と連なる世界を描いた「少年N」シリーズ。 講談社の児童書レーベル、YA! ENTERTAINMENTより刊行されているこちらの「長い長い旅」は、「いない世界」に至るまでの…
『片手の楽園 サクラダリセット5』 河野裕 ようやく物語の終わりに向けて主要な人物が出揃ってきたような気がします。 これまでのお話や他の河野裕さんの作品についての感想はこちら↓ 河野裕 カテゴリーの記事一覧 - ゆうべによんだ。 つい先日、アニメ『サ…
『タイムカプセル浪漫紀行』 松山剛 「メディアワークス文庫×肋兵器さんのイラスト」ということで、書店で見かけた際、即座に『魔法使いのハーブティー』が頭の中に浮かび、あれよあれよという間に。 shiyunn.hatenablog.com 肋兵器さんと言えば、『文句の付…