BISビブリオバトル部シリーズ2作目。
本を他人に紹介するビブリオバトルを扱った物語ということで、読んでるとどんどん他の色んな本も読みたくなります。
はー、今回もめちゃくちゃ堪能しました。
気になる本が出てくるたびに意識があちらこちらに飛んでいくので、いい意味で休まる暇もなく一気読みでした。
前回も本当に面白くて、あれからSF沼の周りをうろうろすべく解説を書かれていた池澤春奈さんの『SFのSは、ステキのS』を思わず購入してしまうなど。
とりあえず、今回は武人の家にあった古い時計のぜんまいを巻いてみたい! と意気込む銀くんがあざとかわいかったっていう話でもします???
......そんなわけでビブリオバトル部一行は、夏合宿と称して武人の家でビブリオバトルをすることになるのです。夏と言えばお盆だったり肝試しだったりということで、テーマは「恐怖」。
物語にすごくマッチしていた、というのもあって、ここで明日香先輩が紹介していた本がいちばん気になっています。
藤野恵美さんの『七時間目の怪談授業』。
「幽霊は怖くない。呪いのメールも怖くない――本当に恐ろしいのは、幽霊が存在しないことである」p.152
という明日香先輩の台詞を読んだ時には、思わず鳥肌が。いや、もちろん、恐怖による、とかではなくて。
誰が幽霊の存在を望んだか、と言えば、それは生きている人で。
そんなテーマを扱っていて、感動するようなお話、ということで是非読んでみたい。
それから、次いで図書館にて「戦争」を扱ったビブリオバトルを行うことになるのですが、全体的にのほほんとした夏合宿と打って変わって、武人くんのフィクション、SF軽視が苛烈に。
戦争をフィクションで描くなんて本当の悲惨さを、犠牲者を、蔑ろにしている、という武人の言い分も分からない、ということは、ないのです。
だからといって、フィクションすべてがノンフィクションに劣るのかというと、きっとそんなことはない。
「そんなことはない」という理由を上手く言語化することはできないけれど、その部分は作中で空がしっかりと言ってくれたように思う。
ままならない現実に対し、もっと理想的であってほしい、愛で溢れていてほしいと願うからこそ、絵空事でも物語という形に落とし込むのだし、そうやって紡がれた物語に価値がない、なんてことはないと思うのです。
今回も、本当にライトノベルからゲームまで色々と多岐に渡って触れられていて、本当にわくわくします。
明日香先輩のライバルとして登場したキャラクター、探偵の話し方を真似て以来すっかり癖になってしまったミステリ好きな彼女がどんな風に本を紹介するのかも楽しみでたまらないです。
SFと並んでハマったら帰ってこられなさそうなミステリ沼。落ちるか落ちないかのぎりぎりのところで、歩いていたい......。でも怖いもの見たさみたいなものもある......。
SF好きとして空が本当にいきいきと描かれているので、なんていうか本当にその場面を読んでいるだけで、こっちまで楽しくなる。手を付けたら果てしないことは分かっているけれど、ちょっと読んでみたいなって。『バーナード嬢曰く。』の神林しかり。
文庫化に際し、今回登場した本に関しては、著者の山本弘さんのブログに記事としてまとめられているので、気になる方はこちらも是非に!