ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『少年Nの長い長い旅 02』

『少年Nの長い長い旅 02』 石川宏千花

少年Nの長い長い旅 02 (YA! ENTERTAINMENT)

 

 

 

講談社タイガより刊行されている『少年Nのいない世界』と連なる世界を描いた「少年N」シリーズ。

講談社の児童書レーベル、YA! ENTERTAINMENTより刊行されているこちらの「長い長い旅」は、「いない世界」に至るまでの物語。

shiyunn.hatenablog.com

 


 

 

 

もちろん片方だけでも十分楽しむことができるのですが、ごくごく個人的な意見を言わせてもらえるならば、両方読んだ方が楽しい、間違いなく。

なまじ「いない世界」にて未来の状態を知っているだけに、「長い長い旅」で行われているやり取りすべてになんだか不穏なところはないかどきどきしてしまう。

児童書レーベルなので、こちらはそれほど悲しい結末は待ち受けていないだろう、となんとなく高を括りながらもすごくそわそわしてしまいます。

 

 

 

 

以下、『少年Nのいない世界 01』の内容を踏まえて感想を書いています。

「いない世界」未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

例えば。

前回、異世界に飛ばされ、音色ちゃんを守るために試練を乗り越えかりそめの結婚をした野依くん。物語の序盤はその生活ぶりがなんとも初々しく可愛らしく描かれているのですが、その生活がいずれ崩れてしまうことを知っているだけに、彼らが幸せであればあるほど胸が苦しくなってしまう、という。

また、音色ちゃんも何か自分のできることをしたい、と異世界に来る前に習っていたバレエを披露する場面。本来ならば、生活に馴染み始めて希望を抱けるような場面なのですが、「いない世界」にてそのバレエが原因で彼らは離ればなれになってしまうと知っているので、つらい。

 

多分、ただの児童向けレーベルの作品だと思っていると痛い目を見る。

なんていうか「いない世界」での話がいい具合にスパイスになっていて、こんなに不安を抱えながらこの作品を読むことになるとは思いませんでした。

「いない世界」があるかどうかで受け取り方がこんなにも違うなんて。

 

 

 

 

そうして、何者かに攫われてしまった音色ちゃんを探し出すために野依くんは宇宙に飛び出すことになる。

そこで野依くんは自身が飛ばされた惑星系、あるいは世界に地球が存在しないことを知るのですが、わずかな情報を頼りに同じく飛ばされた同級生たちを探し出そうとする。

宇宙船の乗組員だったり、そこでの地球にはない様々な出会いだったり、野依くんの目線からとても新鮮に描かれていて、これからの冒険を予期させる要素たっぷりでとてもわくわくします。いえ、わくわくするはずでした、本来ならば。

......あー、この物語を純粋に少年の冒険活劇だと思いたい。信じていたい。

 

 

数年後、「いない世界」で音色が有名になってもなお、野依くんが音色のもとに姿を現していないということを、私は知っている。

これから野依くんはどうなってしまうのだろう......。

同級生の誰かに会うことができるのだろうか......。

私が並行しながら読んでいる数々のシリーズ作品の中で、今いちばん続きが気になるシリーズかもしれない......。つみぶかき。

 

 

 

「いない世界」の2巻が4月に、「長い長い旅」の3巻が7月に発売予定ということで、なんというか内容が内容だけに気が気でない。