『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 8』 大森藤ノ
約500ページにも渡る分厚い巻となった8巻目ですが、めちゃくちゃよかったです!
本の感想を書くブログをやっていながらなんなんですが、こんな記事に目を通して漠然とふーん、と思ってそれっきりになってしまうのなら今すぐこのページ閉じて書店で手に取って読んで欲しいくらい。
◇なんだこのラブコメ!
前回の著者さんのあとがきにも書かれていた通り、今回は日常回ならぬラブコメ回だったんですが、もう何回もふふっと笑ったし、何回もぐっと来ました。
まず、過去の登場人物や出来事が引き合いに出される場面がいくつもあり、その度にそんなこともあったなあ、と懐かしくなりました。
それこそ1巻のベルくんのミノタウロスとの対峙から始まり、7巻のイシュタルファミリアとの抗争まで。
あの時対峙したファミリアのあの人は今……だったり、あの出来事の時期に実は……だったり。このお話の世界観にすっかり浸かっている私にとって、もう、何もかも嬉しくて。
本当に今回、めちゃくちゃ登場人物多いです。
一読者としてベルくんの成長を見守ってきた私としては、ちょっとした感慨深さもあったりなかったり。
そして改めて本当に壮大な物語なんだな、と思いました。
◇恋路の行方。
作品を通して作中の時間は一連として流れているのですが、いろんな登場人物の恋心に焦点を当てた短編という形になるのかな、と思います。
命さんのタケミカヅチに対する恋慕だったり、
リリがフィン(ロキファミリアの団長)から求婚されたり、
ヴェルフのクロッゾ家の親子喧嘩からのヘファイストスへの熱い想いを打ち明けたり、
ベルくんによるエイナさんのストーカーからの護衛だったり、
ベルくんがシルさんのふいに見せる素顔にどきどきしたり、
ヘスティア様とベルくんの強い絆の再確認だったり。
内容が盛りだくさんなだけに、言葉少なにとても言いたいことを言い切れないのですが、どの話もすきなのですが、敢えて場面をいくつかピックアップするとするならば。
リリの求婚騒動でのベルくんの台詞にちょっぴりぐっと来ました。
今でこそファミリアのメンバーは大勢いるけれど、ベルくんが初めてパーティを組んだのはリリで、そういう意味でも掛け替えのない大切なパートナーなんだな、と思うと。
リリは他のメンバーと比べて取り柄がないと劣等感を感じていただけに余計に、 ベルくんの気持ちの純粋さが響くな、と。
それから、私の中ではヘファイストスっていつもどこかさばさばしている雰囲気があったんですが、ヴェルフさんのクサい告白を受けて、身内の身内だけにはでれでれに惚気話をしてしまう感じ、読んでいて思わずにやにやしてしまいました。
最後にやっぱり、ベルくんとヘスティアの関係がすごく綺麗であたたかくて。
神とそうでないものの寿命だったり考え方の違いだったりが対照的に描かれているのですが、人間である以上いつか命を失ってしまうベルくんは、親しい人を失う悲しみや苦しみをヘスティア様に抱いて欲しくなくて、どこか踏み込めなくなってしまう。
そんな中、ヘスティア様のことばはすごくやさしくて。
◇気になる人(?)たち
まずはシルさん。
それから、フレイヤファミリアの猫人アレンって、豊穣の女主人のアーニャと兄妹だったんですね!
完全に根拠のない私の想像なんですが、シルさんだけでなく豊穣の女主人ではたらく人たちも何かしらフレイヤファミリアと関わりがあるのかな……と。
魔導書の件もあるし、その他にもいろいろと以前から豊穣の女主人とフレイヤ様の繋がりを仄めかすような部分はありましたよね。
そして、ヴァレン何某。
最後の第6章でのお話なんですが、どうやら何やら過去に黒龍と因縁がありそうな感じです……。
そしてヘスティア様のベルくんに対するずっと一緒にいるよ、という台詞を受けて、ヴァレン何某の「お母さん……」という呟き。
まだ、ぼんやりとしか触れられていないのですが、アイズさんの強さを求める理由と関係があったりするのかな……。
最後の最後にエピローグ。
明らかに次巻に繋がる終わり方。
敵なのか味方なのか。
私個人としては、ついに新たな属性のヒロインがベルくんのまわり加わることになるのかな、とかも、思っていたりして。
9巻の発売予定は9月15日……。
あのエピローグの終わり方、めちゃくちゃ気になります……。