人語を操るモンスター『異端児』を巡る物語も、今回でようやく一段落。
前回、『異端児』たちを庇い、事情を知らない人々からの信用を失ったベルくんが立ち上がるまでの物語。
私の中では、ここまでのお話の中でいちばんキツい出来事なのではないかと思っていたのですが、目次の『七章 英雄回帰』の文字に思わずぞくっとしてしまいました。
今までにもベルくんの優しさが遺憾無く発揮される場面は多々あり、その結果いつもベルくんは信頼を得て、仲間も増えてきたのに、今回に限ってはどんどんと孤立してゆく。
あろうことか、ベルくんが傷つけたくなかった人たちまで傷ついてゆく。
どこか保護者のような気持ちでベルくんたちを見ている私は、本当にどうなっめしまうのか気が気でない……。
そうして立場の違いから、ロキ・ファミリアと対峙することになるのですが、圧倒的戦力不足ながら魔法等駆使して対等に渡り合おうとする描写に何回息を呑んだかわからないです。
それと同時に気が付けば、ちゃんとベルくんの周りには、ベルくんを助けてくれる人がこんなにもいる、ということに小さな感動。
上層のモンスターを狩ることができたことをヘスティア様に嬉しそうに報告していた1巻冒頭のベルくんに懐かしさを覚える。
2人だけで始まった物語だけれど、他の人やファミリアどころかオラリオすら巻き込む渦中の人になろうとは。
そうして、英雄回帰に至るまで。
再びベルくんの前にミノタウロスが強力になって立ちはだかることになるとは。
圧倒的な力の前に、善戦するも苦杯を喫することになってしまう。
今まで事前に圧倒的な力量差を感じて、結果負けてしまうことはあっても(ラフなので言えばヴァレン某との特訓とか)、全身全霊をかけて出し尽くして負けたのは初めてなのではないでしょうか、
負けてはならない、と思いながらも相手には及ばないような戦い。
次巻以降、この戦いを経たベルくんがどのように成長してゆくのか、とても楽しみ。
楽しみと言えば、そんなミノタウロスとの決着はもちろん、『異端児』にまつわる問題が完全に解決したわけではないので、今後どのように物語を動かしてゆくことになるのか、とても気になるところ。