『放課後のゲームフレンド、君のいた季節』 むらさきゆきや
Twitter上でよく「本の王国浜松西店」さんのライトノベルの愛ある棚づくりの画像を目にするのですが、その中のひとつ、一巻完結フェアなるものでこの作品を見かけて。
今やいちジャンルとして成立しつつあるゲーマー小説を色々と読んでみたい、というのもあって。
MF文庫
— 本の王国浜松西店 (@book_hama) 2016年12月29日
「放課後のゲームフレンド、君のいた季節」著:むらさきゆきや 絵:白身魚
一巻完結フェアにて展開中!
すごく個人的な、いや、いつも個人的な感想で売場作っているけれども、
一巻完結でどれが一番いい「ラノベ」かと聞かれたら
この作品を挙げる。間違いなく、総合力でとびぬけている pic.twitter.com/VE48QhuDl2
主人公の少年がクラスメイトで浮いていた重度なゲーマー少女との出会いをきっかけに、スマホゲームの協力プレイを通じて距離を縮めていく物語。
次第にゲーマー少女は主人公だけでなく、クラスメイトにも心を開くようになって。
読む前にはこのヒロインの子、どこか大人しい子なのかな、と思っていたのですが全然そんなことはなく、想像以上に突き抜けた子でした。
とりあえず。
主人公のリオがスマホ取り上げると、ヒロインの観月がゲームやりたさに悶え苦しんでのたうち回るとかいう夫婦漫才、狂おしいほどすき。
恋愛要素もきゅっと詰まっていて白身魚さんのイラストの雰囲気にぴったりな、ふわふわとしてあたたかくて砂糖菓子みたいな物語でした。
......最後の最後までは。
順風満帆にハッピーエンドに向かいつつあると、どこかで落とし穴が待っているんじゃないかと身構えながら読んでしまうのですが、それでもびっくりする程の意外な結末でした。
そう思えば少し不自然とも思えるような設定だったり台詞だったり色々あったけれど、すべてはこの結末のためだったのか、と。
一巻完結ならば、と手に取った本ではあるのですが読み終えた今となっては一巻完結であることが非常に惜しい......。
※以下、ネタバレ。未読の方はご注意ください。
小説では書かれていない物語の先を幾分に想像できる、余地のある終わり方でした。
リドルストーリー。
いつの間に異世界ものに......。
正直、観月夢亜が亡くなってしまうところは事前に衝撃に備えていたため、素直に受け止めることができたのですが、そこから回って捻って伸身の新月面。
冒頭での主人公の姉が行方不明な件に関しては、これは画面の向こうに行っちゃったやつだ! と冗談交じりに思っていたのですが、それがまんざらでもない展開になるとは。
本当に、主人公のリオくんがゲームの世界に行ったとして。
どんな物語がその先にあるのかと思うと、続きが読みたくて読みたくて仕方がないです。
間違いなく、我が子2人も行方不明になってしまったリオくんの両親は失意に暮れてしまう......。
ゲームの世界で夢亜と出会ったとして。リオくんやその姉は一応戻る体はあるけれど、夢亜は完全に死んでしまっているから、戻る方法があった場合決断を迫られてしまって......。
割と、続いたら続いたできつい展開になるかもしれないです。
主人公とヒロイン、2人の関係がたまらなく好きでもちろん色んな人におすすめしたい気持ちはあるけれど、「砂糖菓子みたいに甘くてふわふわだよ」っておすすめするときに硬い表情になってしまいそう。
私は凄い好きだけど、色々勘繰られそう。
めちゃくちゃ好きだけど。