待ちに待っていた講談社タイガの創刊。
最初の1冊はこの作品にすることにしました。
アニメ化された『化物語』から始まる「物語」シリーズやドラマ化された『掟上今日子の備忘録』から始まる「忘却探偵シリーズ」、他様々な有名作がありますが、著作を手に取るのは今回初めてだったりします。
「物語」シリーズはアニメで観ていたことがあってとても好みだったので、どきどきしながら、西尾維新作品を手に取りました。
10年前に見た星を探し続けるも、14歳の誕生日を機に星を探し続けることも、宇宙飛行士になるという夢も諦めてしまおうとする、主人公の少女、瞳島眉美(どうじままゆみ)。
ところがそんな星を探し続けていたことを、「美少年探偵団」なる集団の団長に知られてしまうや否や、眉美の意思などそっちのけで彼の「美学」に基づき、星探しをすることとなる。
なんと言っても美少年探偵団のキャラが濃すぎる……。
美脚、美声、美術、美食、美学、とその秀麗な見た目ではなく美の本質はそれ以外にあるという美少年探偵団のメンバー。
「美」の字がゲシュタルト崩壊しそう……。
学園内でも一目置かれているが、性格に関しても一癖二癖ある彼ら。
そんな彼らに振り回されながらも、眉美は自身の夢と、自らの「欠点」と、もう一度向き合うことになる。
そんな「星」の正体を巡るうちに、いつの間にかトラブルに巻き込まれていくのですが、解決の場面での団長のことばがとてもかっこよい。
「瞳島眉美くんから空を見上げる気力を奪ったのは、他ならぬあなたがただろうに!」
眉美の美少年探偵団からの翻弄されっぷりも楽しかったのですが、夢と決別するということについての眉美の自問が私としてはとても印象的でした。
現実味のない夢を抱き続けることは子供染みていて愚かしいと感じていた眉美。
追い続ける夢は、いつか、醜悪と化す。
ならば、十年にわたってわたしは——夢を追っていたのではなく、夢から逃げていたのかもしれなかった。
私にとっても身に覚えがあって。
私が読書好きだという友人などから、おそらく冗談半分で何気なくなのだろうけれど、時たま「小説家になれば?」というようなことを言われることがある。
そして、決まって私は答える。
“園児がヒーローやヒロインに憧れるような夢を語ることが許されるならば”本に関わる仕事がしたい。
眉美の夢に対する態度は、そんな自分自身を見ているようでした。
“許されるならば”——夢を語ることを誰が許さないのか。
きっと親でも友人でも社会でもなく、自分自身。
いつの間にか、現実味を伴わず憧れ続けることが子供染みていると、他の誰よりも私自身が見下げてしまっていたのだと思う。
あの美少年に言わせるのなら、それは、きっと、美しくない。
そんな眉美のおとなになりきれなさと私の青さが重なったように思えました。
そして、タイガは全作品書き下ろしシリーズということで、続刊もとても気になるのですが、巻末によれば既に第3作目までタイトルが決まっていて、第2作である『ぺてん師と空気男と美少年』は12月刊行予定だとか……。
2ヶ月後……はやい……。
講談社タイガこわい。