ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『忘却のレーテ』

『忘却のレーテ』  法条遥

忘却のレーテ (新潮文庫nex)


『リライト』から始まるreシリーズと同じく、法条遥さんの作品です。

(参考までに:『リライト』 未来へ跳んだ夏 - ゆうべによんだ。)



『リライト』を読んだことがある方は分かると思うんですが、今回もそれと似たような難解なお話になっています。

いち読者としては、シリーズものではなくて独立したお話であることが救いです(笑)



それから今回の表紙イラストも、reシリーズと同様usiさんが担当されています。

すごく難しい話になるんだろうなー、と思いながらも法条遥さんとusiさんの組み合わせってだけですごくわくわくしてしまいます。

そういえば『My Humanity』のイラストもusiさんでしたね。

こうやっていろんなイラスト担当者さんの名前覚えていくと書店で本眺めるの、一層楽しくなりますよね。






今回のキーとなるのはラベンダーの匂いのする錠剤……ではなく、レーテと呼ばれる記憶を完全に消去する薬。

そして主人公である女性は金銭的な理由からレーテの臨床実験に参加するが、何故か「死」という言葉、現象に強い拒絶を覚える。

7日間に渡る実験の様子が描かれているのですが、忘却の薬の作用で毎朝見知らぬ部屋で被験者は目覚めることになる。



登場人物にとっては、7日間変わらない日々を過ごしているようでも、それを読者として眺めている私たちは所々不可解な部分に気付くはず。


この本は2回読んで、初めて完結する作品だと思います。

最後の最後で、今まで読んできた不可解さについての種明かしがあるのですが、それまではなんだか不穏なまま話が進んでいきます。

起こっていることは文章でわかるのですが、状況がよくわからない、なんだこれ、みたいなもやもやする感じを引きずったまま最後の種明かしに入るので、その結末を頭にもう一度読んですべてが分かるようなお話。

ひっくり返るとか繋がるというよりは、話を理解するための鍵を最後に手に入れる、みたいな感じ。


読み終えて、いろいろと細かい部分を比べたいのですが、reシリーズですっかり体力と精神力を削られたので今回はぼんやり楽しむことにしました(笑)

まずは、ページを開いて「エピローグ」から始まっているのを見た時は、思わずひと息。

(ネタバレじゃないです、文字通り「エピローグ」から始まっているのです)



そこから読み進めて、さらに頭を悩ますことになります。

あれ、あの人は昨日、あれ?  と。



結末が分かったとしても、どこかすっきりとしない感じ(褒め言葉)が好きな人は好きかもしれません。

乾くるみ作品とか浦賀和宏作品とか。




今回の『忘却のレーテ』みたいなのもっと読みたいって方は是非『リライト』読んでみてください。


……責任は取りません。