ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

新潮文庫nex

『きみの世界に、青が鳴る』

『きみの世界に、青が鳴る』 河野裕 『いなくなれ、群青』から始まる階段島シリーズ最終作。 読み終えた今はただひたすらに、とうとう終わってしまった、という思いが強い。自分の目で物語の結末を見届ける決意がなかなか固まらず、実際に読み始めるまでに随…

階段島シリーズ最終巻を前にもう一度よんだ/『いなくなれ、群青』

『いなくなれ、群青』をもう一度 4月末に発売予定、階段島シリーズ最終巻『きみの世界に、青が鳴る』を手に取る前に、シリーズ作品をもう一度読み返しておこうと思い立って。 思ったことを書き残しておこうと思って。 『いなくなれ、群青』から『夜空の呪い…

『君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部』

『君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部』 武田綾乃 新潮文庫nexより、カヌー部に入部した少女たちがそれぞれの思いを胸に漕ぎだす青春部活小説。 初めてカヌーに乗る新鮮な喜びや、誰かとペアを組むということの難しさ、結果がタイムとして如実に現れるスポーツと…

『朝比奈うさぎの謎解き錬愛術』

『朝比奈うさぎの謎解き錬愛術』 征木政宗 あらすじ 鳴かず飛ばずの探偵業を営む主人公の迅人。 自称の「もたれ体質」によって、何かと殺人現場に居合わせては疑いをもたれてしまう。 そんな迅人の窮地を救うのは、ストーカーとして彼を悩ます朝比奈うさぎ。…

『田嶋春にはなりたくない』

『田嶋春にはなりたくない』 白河三兎 今の私の愛して止まない作家のひとり、白河三兎。 今回の作品は奇抜なキャラクターを中心にめぐる日常の謎ミステリ。 決して自分を曲げない田嶋春に、いい意味で振り回されっぱなしだった一冊。 あらすじ どんな小さな…

『夜空の呪いに色はない』

『夜空の呪いに色はない』 河野裕 『いなくなれ、群青』から始まる階段島シリーズ5作目。 階段島の在り方、魔法の在り方を巡って、階段島に居合わせた登場人物たちが、それぞれの理想をかかげ、傷つき、それでも前に進み続けるための物語。 七草くんをはじ…

『おまえのすべてが燃え上がる』

『おまえのすべてが燃え上がる』 竹宮ゆゆこ 『知らない映画のサントラを聴く』『砕け散るところを見せてあげる』に続いて私にとって3作品目の竹宮ゆゆこ作品となる今作。 率直に言うと今回の『おまえのすべてが燃え上がる』が群を抜いて好みでした。それど…

『青の数学2 ユークリッド・エクスプローラー』

『青の数学2 ユークリッド・エクスプローラー』 王城夕紀 数学を題材にした紛れもない青春小説『青の数学』シリーズの2巻目にあたります。 shiyunn.hatenablog.com 身の回りの数字を記憶することができる主人公の栢山と、数学の問題を用いた決闘に様々な思い…

『凶器は壊れた黒の叫び』

『凶器は壊れた黒の叫び』 河野裕 『いなくなれ、群青』から始まる階段島シリーズ4作目。 刊行前に『凶器は壊れた黒の叫び』というタイトルや書影が発表された際に、「凶器」や「壊れた」という言葉や、装幀イラストの堀さんの表情から、もしかしたら傷つく…

『向日葵ちゃん追跡する』

『向日葵ちゃん追跡する』 友井羊 新潮文庫nex作品から出ている友井羊さんの作品。 私にとっては、『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』シリーズ以来の作品になります。 まず、この表紙の遠田志帆さんのキュートなイラストと、『向日葵ちゃん追跡する』という…

『青の数学』

『青の数学』 王城夕紀 新潮文庫nexから刊行されているこちらの作品を読んだのですが、タイトルや表紙の雰囲気から静かな小説かと思いきや熱い夏が描かれていて、スポーツ小説を読んでいる時みたいに登場人物たちの息遣いが聞こえてきそうなくらい。 主人公…

『渦森今日子は宇宙に期待しない。』

『渦森今日子は宇宙に期待しない。』 最果タヒ 新潮文庫nexの、最果タヒさんの、小説。 主人公の女子高生、渦森今日子は宇宙人。 どちらかと言えば、表も裏も女子高生なのだけれどそういえば宇宙人でした、という感じの。 同級生の友達と会話するのはすごく…

『ハルコナ』

『ハルコナ』 秋田禎信 『魔術師オーフェン』シリーズの秋田禎信さんの作品。 オーフェンも、名前は知っているのですが、今から読み始めるには私の覚悟とか度胸が足りない……。 ある特異的な体質をもった少女を巡る物語。 その少女、ハルコはある程度の範囲の…

『砕け散るところを見せてあげる』

『砕け散るところを見せてあげる』 竹宮ゆゆこ ※以下、内容に触れています。ネタバレを避けたい方、未読の方はご注意ください。新潮文庫nexより刊行されている竹宮ゆゆこさんの作品。同じく新潮文庫nexの『知らない映画のサントラを聴く』以来、竹宮ゆゆこさ…

『シャーロック・ノートⅡ  試験と古典と探偵殺し』

『シャーロック・ノートⅡ 試験と古典と探偵殺し』 円居挽 新潮文庫nexから刊行されているシリーズ2作目。 相変わらず片山若子さんの装丁イラストが好みどんぴしゃでたまらない……。 shiyunn.hatenablog.com 前作に増して今回のお話、めちゃくちゃわくわくしま…

『ケーキ王子の名推理』

『ケーキ王子の名推理』 七月隆文 『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』で大きく話題になった七月隆文さんの作品。 『君にさよならを言わない』に続き、七月さんの作品を読むのはこれで3作品目になります。 そして、今回の装丁イラストは『orange―オレン…

『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』

『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』 河野裕 『いなくなれ、群青』 『その白さえ嘘だとしても』 に引き続き、階段島シリーズ第3弾。 舞台は階段島を一旦離れて、現実世界を生きる七草くんと真辺さんのお話でした。 何故、七草くんと真辺さんは自分を捨てたのか。 そ…

『空が分裂する』

『空が分裂する』 最果タヒ『死んでしまう系のぼくらに』が刊行された際に、ぴかぴか蛍光色の装丁と、何よりそのタイトルの語感から気になっていた最果タヒさん。新潮文庫nexから、どうやら別作品の文庫本が出るらしい! ということで。今作は小説ではなく詩…

新潮文庫nex総選挙とこっそり推したい選外作品。

先日、新潮文庫nex総選挙の結果が発表されました。 新潮文庫nex総選挙2015 | 新潮文庫nex 全作品読んだわけでは無いですが、ほんのりレーベル追っかけしている私にとって、選外にも読んでもらいたい作品がいくつかあって、どうせなら作家ごと推して記事にし…

『革命のリベリオン 第Ⅰ部 いつわりの世界』

『革命のリベリオン 第Ⅰ部 いつわりの世界』 神永学 ※ネタバレ気にせず感想を書いています。未読の方はご注意ください。 私としては「心霊探偵八雲」シリーズの印象が強い、神永学さん。 今まで神永学さんの作品を読んだことがなくて、この「革命のリベリオ…

『天久鷹央の推理カルテⅢ 密室のパラノイア』

『天久鷹央の推理カルテⅢ 密室のパラノイア』 知念実希人※ネタバレには気をつけていますが、登場人物名等、既刊の内容前提で感想を書いています。天久鷹央の推理カルテシリーズ3作目。私の中ではすっかりお馴染みのこのシリーズ。この医療ミステリって扱われ…

『その白さえ嘘だとしても』

『その白さえ嘘だとしても』 河野裕 階段島シリーズ2作目。 『いなくなれ、群青』の続編。 河野裕『いなくなれ、群青』『その白さえ嘘だとして も』PV|新潮文庫nex - YouTube 続編が発売されるのをとても心待ちにしていました。 今回の階段島はクリスマス。…

『ブタカン! 〜池谷美咲の演劇部日誌〜』

『ブタカン! 〜池谷美咲の演劇部日誌〜』 青柳碧人 以前、同じ青柳碧人さんの作品である『希土類少女』についての記事のコメントにて、この作品をおすすめされたので、早速読んでみました。(『希土類少女』について。『希土類少女』 - ゆうべによんだ。)今…

『さとり世代探偵のゆるやかな日常』

『さとり世代探偵のゆるやかな日常』 九頭竜正志 ※ネタバレには気をつけていますが、登場人物等に触れているので未読の方はご注意ください。 個人的に新刊追いかけている新潮文庫nexの、今回はゆるやか日常ミステリー。 連作短編小説なんですが、全6話のうち…

『忘却のレーテ』

『忘却のレーテ』 法条遥『リライト』から始まるreシリーズと同じく、法条遥さんの作品です。(参考までに:『リライト』 未来へ跳んだ夏 - ゆうべによんだ。)『リライト』を読んだことがある方は分かると思うんですが、今回もそれと似たような難解なお話にな…

『シャーロック・ノート 学園裁判と密室の謎』

『シャーロック・ノート 学園裁判と密室の謎』 円居挽 まずは表紙をご覧ください。 めちゃくちゃ良くないですか? 片山若子さんのイラストが本当に好きで、書店で片山さんのイラストが目に入るや否やその本を手に取って何とも言えないため息を漏らすくらい。…

病室にあらわれる天使

『天久鷹央の推理カルテⅡ ファントムの病棟』 知念実希人 あれです、病室にあらわれる天使と言っても、白衣の看護師さんとか、表紙イラストの童顔のお医者さんとかのことじゃないです。 病室に天使が現れるのです。 より正確には、天使の姿が、現れるのです…

あまりにもひねくれた。

『謎好き乙女と奪われた青春』 瀬川コウ 『謎好き乙女と奪われた青春』プロモーションムービー|新潮文庫nex - YouTube ひとまず、米澤穂信作品の「氷菓」シリーズと「小市民」シリーズが好きな方はこの本を読んでみていただきたい。 主人公の矢斗春一は、身…

読者一同、日常に辟易

『坂東蛍子、日常に飽き飽き』 神西亜樹 編集者がインターネット上の小説から探し出し、大賞を決める新潮nex大賞。 その第一回受賞作である今作。 まず始めに、この作品めちゃくちゃ疲れます。パワフルです。 容姿端麗、学業優秀、運動抜群、ド天然、ド近眼.…

『いなくなれ、群青』 河野裕

今回は新潮文庫nexから出ている、『いなくなれ、群青』。 個人的には、ここ最近のアタリ本。 アタリ本なんて表現じゃ足りなくて、自分のお小遣いで何冊か買い揃えて、友達に「これ絶対に読んで! そして感想を聞かせて!」と手渡して配りたいくらい。 舞台は…