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ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『リライト』 未来へ跳んだ夏

法条遥 感想 ハヤカワ文庫JA

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『リライト』  法条遥

リライト (ハヤカワ文庫JA)

 
 
 
書店での「バッドエンド版時かけ」の文字に惹かれて以前に購入。
 
つい先日発売された『リライト』から始まるシリーズの最終巻である『リライブ』読んだのだけれど、1回読んだところではあまりにも複雑すぎてすべてを拾いきれない!  ということで、『リライト』から再読読み直し。
 
 
 
 
未来から転校してきた園田保彦のタイムリープの場面に偶然出くわした美雪は、彼が未来から来たという秘密を抱えながら1992年、14歳の夏の20日間を過ごすことになる。
ある事故から保彦を救うために、保彦からもらったラベンダーの匂いのする薬を使い、10年後へ跳んだ美雪。
 
 
しかし10年経った2002年の夏に、過去の美雪は現れず。
なぜ14歳の私が現れないのか、過去の保彦を救うことは出来なかったのか……。
 
 
 
初めて『リライト』を読んだ時は、バッドエンドどころじゃない、なんだこれ、と衝撃を受け、シリーズ化されると知った時はすごく嬉しかったのですが、作品を追うごとに互いが繋がり複雑な話になることになるとは……。
 
メモ取りながらシリーズ読み直した今でもいくつかわからないところがあるのですが、とりあえず自分の頭の中を整理するためにも、ひとつずつ書き留めておこうと思います。
 
 
 
 
 
以下、『リライト』のネタバレになります。
未読の方は、ご注意ください。
 
 
また、とりあえず『リライト』のみを読んでわかることだけを書いておこうと思います。
解説めいたものを期待するには、あまりにも穴だらけなのでご注意ください(笑)
 
 
 
 
 
 

登場人物の整理

 
2002年と1992年のことが交互に語られる今作。2002年と1992年の語り手である「私」が同一人物ではないので、すっかり騙されてしまいました。
 
1992年① 桜井唯
1992年② 長谷川敦子
1992年③ 雨宮友恵
                (増田亜由美とのお祭りを尾行) 
1992年④ 林鈴子
1992年⑤ 雨宮友恵
2002年     石田美雪(旧姓 大槻)
 
1992年編では、主に保彦と「私」が過ごした20日間について描かれていて、2002年編では、美雪の記憶と現実の食い違いを洗い出している。
 
また未来へ帰れなくなった保彦は酒井茂にのみ事情を明かし、夏を繰り返すことになる。
 
 
 
 
 

保彦について

保彦が未来で見つけた不完全の小説の追体験がしたくて過去へ。
美雪と小説と同様に20日間を過ごし、未来へ戻ろうとするも、帰れなくなってしまう。
 
保彦が過去へ跳び、小説の追体験をしたことで、世界中の誰かが空想で小説を書くのではなく、保彦の存在を知る2-4の誰かが保彦自身をモデルとして小説を書く未来が確定する。
 
しかし20日間を共にした美雪は、将来小説を出版する“誰か”ではなかったため、小説は書かれないことになり矛盾が生じてしまう。
 
 
保彦が小説を読んで過去に跳ぶ
↕︎
小説が出版されない
 
 
美雪との別れ際にそのことに気付き焦った保彦は、少し前の保彦に美雪が著者ではないと告げようとするも、時の強制力により本人同士が会うことは許されず、旧校舎が崩壊する。
違う時間軸の同じ人物が会うことを回避するためなら、隕石だって降る、と保彦自身が言っていたように。
また、保彦が慌てて過去の自分に忠告しようとそのタイミングを選んだのは、保彦が手にした小説に描かれていたのが旧校舎での別れまでであり、小説が出版されるためには、そこまで確定していさえすれば十分であったため。
 
小説が出版されない未来、保彦が小説と出会う前の未来ならば矛盾なく帰ることができたのだが、美雪との楽しい思い出を小説が出版された未来へ持ち帰りたかったため、保彦は茂を頼り、教師を含む保彦の存在を知る全員に小説と同じ思い出を残そうと考える。
 
しかし、茂と保彦の計画には穴があり、旧校舎崩壊の際にタイムリープの薬を使わない者がいるかもしれない、夏を繰り返していることに気付かれてしまうかもしれない、という可能性を考慮していなかった。
 
結果、雨宮友恵によって小説の著者が友恵である事が確定し、友恵が小説を書かないという選択をすることにより、保彦は未来へ帰れなくなってしまい、夏以降も1992年に留まることになる。
 
 
 
 
 

 石田(大槻)美雪について

1992年に雨宮友恵の机の上に置かれた小説と自身の記憶を元に、友恵のペンネームであった高峰文子の名を借り、2000年に『時を翔る少女』の初校を書き上げる。
10年前の自分が携帯電話を取りに来ないことから始まり、次第に自分の記憶と現実が乖離していることに気付いていく。
 
 
 
・確かに薬を使ったのに、過去の私が携帯電話を取りに来ない。
 
・知らずのうちに同級生が3人死亡。
中でも長谷川敦子の死に関して、美雪の母が美雪自身が葬式に参列したと言うものの、美雪自身にその記憶がない。
 
・保彦は夏に帰ったはずなのに、卒業アルバムに保彦の写真や書き込みなどが存在している。
 
・同窓会で友恵が持っていた『時を翔る少女』のお祭りの場面が知らぬ間に書き換えられている。保彦が近々未来へ帰ることを告げる場面が、雨宮のいじめについて言及する場面に。
 
 
 

 “リライト”とは

リライトという言い回しは所々使われているが、この物語の中でのいちばん大きなリライトについて。
 
 
友恵が行ったリライト。
 
本来ならばクラスメイト全員に思い出を残し、未来へ帰ることのできた保彦。
クラスメイトが誰も小説を書かない、という万が一の備えとして茂自身が『時を翔る少女』を本として残せるようにテキストデータを所持していた。
 
 
しかし、1992年の雨宮友恵が高峰文子著の『時を翔る少女』を所持していたため、1人目が美雪であるということ、クラスメイト保彦の行ってきたことすべてがバレてしまう。
 
このまま保彦が未来へ帰るのをよしとしなかった雨宮友恵は、文筆業に就いた同級生(桜井、長谷川)を殺害することで、友恵自身のみが小説を書き得るという未来にし、保彦を現代に縛ろうとする。
 
 
 
 
このことにより、薬を使って助けた保彦が未来へ帰るという美雪含むクラスメイトの記憶と食い違うように、世界が変わってしまう。
 
 
そして、最後のカラオケルームでの場面。
友恵が小説家になり保彦が現代に残っているという世界になってしまった場合、美雪が小説家になり同窓会が開かれている世界はあり得ないため、美雪たちにとっての今が消滅してしまう。
 
 
1992年に『時を翔る少女』が存在していることで友恵は保彦の思惑を事前に知ることができた。そのことにより、世界が書き直されてしまう(リライトされてしまう)。
 
2002年のカラオケルームでの茂の話により、まだ薬を飲んでいない自身が過去に小説を持ち込むことで、保彦を縛ることができることに気付いた友恵は美雪の書いた『時を翔る少女』を届けるため、薬を口にする。
 
 
こうしてリライトされることが確定されてしまう。
 
 
 
 
 
 
 
 
……とまあ、最後の最後で保彦の印象が悪くなる上に、友恵によって美雪が小説を書いた世界は完全に閉ざされてしまう、という結末を迎えるわけですが。
 
 
『リライト』だけを読んですべてを理解しようすると、矛盾や不思議な点が出てきてしまう。
(シリーズ全部読むと明かされる部分があるが複雑なので、それ以上にわからないことが出てくる……。)
 
 
例えば、
友恵の手元に美雪が書いた小説がある
美雪が小説の作者である
↕︎
美雪が小説の作者ではない
保彦がループすることになり、雨宮が薬を手に入れる
 
 
なので、雨宮友恵が1992年の時点で小説を手にするには、美雪が小説の作者であることと作者でないことの両方が必要であることになるのです。
 
 
 
せっかく読んだのだから、せっかく記事にするのだから、普段使わない頭をできるだけ使ってみたのですが、日常で本を読むときはあんまり細かいところは気にしてないです(笑)
小説の読み方、何を気に入るかって本当に人それぞれだと思うんですが、「ミステリ」と名のついた小説でも、トリックや推理よりも、設定だったり登場人物間の雰囲気だったり言い回しだったり、そういったものを気に入ることの方が多いです。
 
 
この『リライト』から始まるシリーズも時間SFとしては、とても複雑で好き嫌いが分かれてしまうと思うのですが、最終巻で明らかになる保彦が1992年に来た本当の理由や彼の選択がシリーズ通していちばん印象深くて。
 
 
 
どちらかといえば、細かい矛盾点を洗っていくというよりか、話の大まかな流れを追う、という形になると思いますが、よろしければお付き合いください。
 
もし、間違いや別のとらえ方があった際、コメントくださると嬉しいです。
あまりにも難解すぎて実生活の周りの人の意見をもらうことはおろか、気軽に読んでみて! と薦めるなんてとてもできそうになくて(笑)
 
 
 
 
次作『リビジョン』について。

 

shiyunn.hatenablog.com

 

 

Special Thanks

アドさん

 

この難解な話について考えていくに当たり、私とは違った視点から貴重な意見をくださいました。

『リライト』を読んで同じく頭を悩ませ、「リライト ネタバレ」「リライト 解説」と検索してこのページにたどり着いたそこのあなた。

もっと理解の助けとなる、素晴らしいページがございます。

こちら→ Reシリーズ考察ブログ

 

 先ほどのアドさんが記事を作成しているブログなんですが、パラドクスや小説内での出来事について図を用いて説明されているのでここの文章をくどくど読み返すよりはだいぶ理解が進むかと思います。

2015年4月現在、絶賛更新中ですのでアドさんのブログにもぜひ足を運んでみてください。

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