ゆうべによんだ。

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『毛布おばけと金曜日の階段』

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『毛布おばけと金曜日の階段』 橋本紡

毛布おばけと金曜日の階段 (電撃文庫)

 

兼ねてから橋本紡さんの作品が大好きで。

この作品は2002年に刊行されたものなのですが、発売から10年以上経ってこうして運命的な出会いを果たす。

今回も繊細で絶妙な心の機微が描かれていたり、あたたかな「家族像」が描かれていたり、今作品も私にとって大切な一冊になりそうです。

 

あらすじ

今までごくありふれた普通の家族だったはずなのに、父親の事故死をきっかけに歯車が狂い始めてしまう。

父が事故死したのと同じ金曜日、お姉ちゃんは家の階段の踊り場で毛布にくるまって毛布おばけになってしまう。

金曜日以外は非の打ちどころのないお姉ちゃんも、この日だけはまるで別人みたい。

そんなお姉ちゃんとお姉ちゃんの彼氏である和人、そして主人公の未明(みはる)の3人で過ごす踊り場での時間が、今となっては未明にとって唯一家族というものを感じられる時間だった。

歪ながらも刻々と変わりゆく家族や恋人、友人との向き合い方を描いた心温まる物語。

 

 

 

未明にとって心安らぐ金曜日の階段

何といっても作中で描かれている階段の踊り場での一幕のあたたかさが本当にたまらなくすき。

もちろん社会的に見たらお姉ちゃんは危うい状態だし、狭い階段の踊り場で3人身を寄せ合って暴飲暴食を繰り返すなんて、心身ともに健康的とは言えないけれど、それでも間違いなく未明にとっては日常で家族を感じられる時間というのが、どうしようもなく必要な時間なのだという描写が本当に心にくる。

和人が趣味で作って持ち寄るお菓子も、ほとんどが失敗作で美味しいのはごくまれ、というのも含めて何もかもが愛しい。

 

 

未明自身もいつまでもこのままではよくないと頭では分かっていながらも、この安らかな時間が続くことを願ってしまうのに、本当に甚く共感してしまう。

下手に前進するよりも不健康にも停滞を仄かに望んでしまう感じ。

そんな未明のもやもやとした気持ちに対して出された結末も、ちょっと素敵な驚きを含みつつも決して派手過ぎず私の感覚の丈に合っていて、すとん、と受け入れることができた。

 

そうして得られた結末も、決して未明がひとりで考え抜いた末に得られたものではなくて、一緒に階段の踊り場で時間を過ごしてきた和人はもちろん、その他大勢の人がいたからこそ持ちえたものだと思う。

そういう意味でも、今最後のページをそっと開いて眺めているだけで、なんだかあたたかい気持ちでいっぱいになる。

 

 

 

他人のことを思いやる優しい世界

和人を含め、この小説に出てくる人たちはどれも優しい人ばかり。

この小説を読んだ人ならきっとそのほとんどが賛同してくれると思うのですが、何においても都築くんが良い人過ぎる。

和人との関係においては、親友としてちゃんと思ったことを包み隠さず和人に伝えるし、それによって和人は迷わずに済む。

 

加えて未明とは和人の薦めがあって半ば勢いで付き合い始めるのですが、しばらくはデートを繰り返しても2人の関係はちぐはぐなままで、傷つけないように予防線を張るものの、さらにそれによって相手を傷つけてしまうような状態に。

そうして未明が関係に悩みに悩んで、色んな人と触れ合ううちに出した決心をあっさりと受け入れ祝福する心の広さを持った都築くん。

 

決して主要人物というわけではないけれど、ごくごく個人的に未明や和人たちと末永く仲良くしていて欲しいと思う。

その他にも未明の親友も、和人のバイト先のお客さんも、シュワルツェネッガー好きな父を持つ少年も、細やかながらも誰かの人生に寄与し合う感じにふくふくとした気持ちになる。

多分、時代的にこの先きっとこういった人との関わり合いはどんどん希薄になっていくのかもしれないけれど、私がこうして今ここに立っていることに名前も知らない人も含め多くの誰かとの縁を感じていたい。

 

 

 

 

2018年始まってまだ間もないですが、幸先よく素敵な作品に出合えました。

これからどんな出会いがあるのかとても楽しみ。

 

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