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『小説の神様』

感想 講談社タイガ 相沢沙呼

『小説の神様』  相沢沙呼

小説の神様 (講談社タイガ)

 

講談社タイガから相沢沙呼さんの『小説の神様』というタイトルの作品が刊行されるらしい、ということを知ってからとても楽しみにしていた作品。

相沢沙呼さんの、『小説の神様』というタイトルの作品、というだけで内容も知らずに飛び付くように手にしたのですが、とてつもない熱量が込められていて、思わず居住まいを正してしまう。

 

 

主人公の一也は高校生作家。

自身の作品の売れ行きが良くないことに悩み、小説を書き続ける意味を見失ってしまう。

インターネットを覗けば酷評ばかり。文庫化すれば売れるだろうと思っていたものの、予想以上に発行部数や書店での消化率は悪いまま。

そんな一也の実情とは裏腹に、わかりやすく食べやすい「泣ける」話が「面白い」と持て囃され、後輩作家が次々とヒット作を飛ばしてゆく。

 

そんな中、小説の神様が見える、という人気作家の詩凪と作品を共作することになる。

才色兼備、運動神経抜群、非の打ち所がない詩凪と作品についてのやり取りを通して、一也は、それこそ息苦しくなるくらいに自らの悩みに向かいあってゆく。

 

 

 

 

 

この、一也の苦しみというのが、著者の相沢沙呼さん自身の経験もあって、苦しさのあまり胸がつかえるほどに濃く表現されていました。

実際、ぽつりぽつりとTwitter上で自身の無力さを嘆く相沢沙呼さんの心から漏れた呟きを見かける度に、「そんな悲しいこと言わないでよ、私は相沢沙呼さんの作品がたまらなくすきなのに」と思っていただけに、一也の苦悩がとても強く心に残ります。

 

この物語は、小説を書く意味を巡る物語でしたが、きっと似たような苦しみは何処にだって当てはまる。

小説に限らず、アニメだってゲームだって音楽だって漫画だってイラストだって、分かりやすく手軽なものが好まれる。

分かりやすく手軽なものが悪い、というわけではなく、きっとそれはある種当たり前なことなのかな、と思ってしまう。

 

 

喉が痛くても鼻水が出ても頭が痛くても、とりあえず総合風邪薬を飲んでしまうみたいに、

繊細な味付けの料理より、味が濃い方が万人受けするみたいに、

 

 

 


本当に自分のやりたいようにやって、努力や苦労に見合った金銭を得ることが出来ているのなんて、きっとほんの一部で。

それをわかった上でも、自分が面白いと思って打ち出したものが、自分の身を削って生み出したものが、無惨にもぼろぼろになって帰ってきたら、何のためにやっているのだろう、ときっと思ってしまう。

もちろんすきだと言ってくれる人もいることは分かっているけれど、自分は100パーセントもしくはそれ以上を込めたものなだけに、瑕疵ばかり気にしてしまう。

 

 

 

 

 

そんな風に打ちのめされながらも、一也は最後には小説とちゃんと向き合って自分なりの答えを見つけてゆく。

 

いつか誰かが泣かないですむように。 

 

この言葉に込められた優しさも願いもきっと一也の苦しみがあったからこそ、より一層輝くものだと思うのです。

最後の、一也が、そして脆く弱い部分を隠していた詩凪が、辿り着いた結末に気持ちがふわりとゆるむ。

よかった、登場人物たちが道を見失わないで本当によかった、と思えるような。

 

 

 

 

 

小説に限らず、何かたまらなくすきなものがある人に、読んでもらいたいお話でした。

 

 

 

 この『小説の神様』に対する諸関係者様の思いが以下によくまとめられているので、こちらも是非覗いてみてください。

相沢沙呼 先生が語る新作『小説の神様』創作秘話 #講談社タイガ - Togetterまとめ

 

 

 

 

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