ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『涼宮ハルヒの退屈』

涼宮ハルヒの退屈』 谷川流

涼宮ハルヒの退屈 (角川文庫)

 

 

装い新たに刊行された角川文庫版で読む、初めての涼宮ハルヒシリーズ3作目。

小説で読んだ内容を追う形で、少しずつアニメを見始めました。

小説を読んでいる時にはさらりと読み飛ばしてしまっていたキャラクターの所作に、映像化されることで初めて気がつく点も多くて、とても楽しい。

この後でちゃんと書こうと思うけれど「わ、長門有希の眼鏡!!」ってなったのがいちばん嬉しい発見だった。

 

 

前作『涼宮ハルヒの溜息』の感想はこちら。

shiyunn.hatenablog.com

 

※ネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 

 

笹の葉ラプソディ』がすき

今回はいくつかの短編集で構成されていたのだけれど、その中でも群を抜いて『笹の葉ラプソディ』がすき。

 

彦星と織姫星が遠く離れているから16年後と25年後を想像して短冊に願いを書こう、というハルヒの提案、キョンは冷ややかな評価を下していたけど、私は新鮮でとても素敵な提案だと思った。

いや、まあ、ベガやアルタイルまで願いを届ける片道分の時間だけ考慮して帰りはサービスって言う理論はなかなかに暴力的だとは思うけど。

ほら、新幹線だってひかりよりのぞみの方が速いし。

本気出せば願いは光速を超えるよ、たぶん。

ひかりよりのぞみの方が最高速度が速いわけじゃなくて、停車駅が少なくて所要時間が短いだけで速いというより早いっていうのは、今この場では世界でいちばん要らない情報です。

 

 

それからこの『笹の葉ラプソディ』、短いながら時間SF的な要素がぎゅっと詰まっていて本当にいい。

シリーズ1巻である『涼宮ハルヒの憂鬱』で何気なく触れられた内容がこの『笹の葉ラプソディ』に繋がっていて、ひとつひとつの気付きがとても楽しかった。

 

え、校庭落書き事件の実行犯ってキョンだったんだ!? とか。

 

普通ではないSOS団員たちがハルヒについて語る時の3年前が特異点だったって話、この落書き事件が関係してるんじゃないの? とか。

 

SOS団創設前のハルヒの「あたし、あんたとどこかで会ったことがある?」って台詞、ここに繋がってたのか! とか。

 

幼いハルヒに対してキョン異世界人はいると答えていたら、今頃SOS団員はひとり増えていたのだろうか。

 

時間渡航に必要なTPDDを失ってしまったキョンたちが過去から現代に帰ることができた方法もシンプルかつパワフルで、確かにこれなら一応現代に戻ってきたことになるな......と感嘆してしまった。

 

 

 

アニメで改めて気付いた長門有希の眼鏡

朝倉涼子キョンが襲われた際に、長門有希が眼鏡を復元し忘れて、キョンが眼鏡がない方がいいみたいなことを言ったのは覚えていたのですが、長門有希の眼鏡がハルヒにとってのポニーテールみたいな感じになっているとは思ってなくて。

キョンの何気ないひと言が彼女たちにこうも影響を与えるとは。

 

わ、そこで眼鏡外すんだ! とテンション上がったのは、やはり『笹の葉ラプソディ』の回のアニメを見た時。

現代に戻る方法を失い長門有希を頼った場面にて、三年後の彼女と記憶を共有した後でおもむろに眼鏡を外したのには、本当にアニメも見ておいて良かったな、と思った。

もしキョンの眼鏡ない方がいい、というひと言を受けて眼鏡を外したとしたら、何気ない行為だけど長門有希に思わず人間味を見出してしまう。

アニメの後で小説を読み返したら、ちゃんと眼鏡を外す描写はされていました。

さらりと読んでしまった私も私だけれど、本当に油断ならない。

 

今作の短編のお話の中でもジョークや寂しさなど、彼女の感情に触れられる部分がいくつかあって、キョンたちと過ごすうちに次第に感受性が豊かになったのかな、と想像が膨らむ。

 

 

それから他にアニメを見て気がつけたことと言えば、朝比奈みくるの「わたしとあまり仲良くしないでください」という言葉の意味。

てっきり、この先未来にどうしようもない別れが待っていて、その別れが辛くなるからみたいな意味だと思っていたのですが、もしかしたらハルヒが妬いて何かとよくないことが起きるからという意味なのではないか、と。

もしかしたら前者の意味も含んでの発言かもしれないけれど、後者の意味も含まれているのだと表題作『涼宮ハルヒの退屈』のアニメのみくるの視線を見て気がついた。

 

ミステリックサイン』におけるSOS団のロゴや『孤島症候群』におけるアニメならではパロディや描写など、平成が終わるというこの時期に小説とアニメの両方でこうして新鮮な気持ちで有名なシリーズを楽しむことができるの、ささやかながら本当に幸せだと思う。