ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 14』

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 14』  大森藤ノ

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか14 (GA文庫)

 

ダンまち」シリーズ13作目。

 

リューに掛けられた疑惑を巡りダンジョンに潜ったヘスティアファミリアを待ち受けるのは、困難に次ぐ困難。

かつてない強敵を前に分断されてしまったベルとファミリアの面々。どちらも予断を許さない状況に、いかにして彼らは活路を見出すのか。

前巻から続いたダンジョン遠征も、今回600ページ超のボリュームをもって結末を迎える。

 

 

 

 

※以下、ネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

とりあえず、ひと言いい?

めちゃくちゃ良かった!!!

毎度毎度同じことを言っているような気もするけれど、ピンチを前にみんなが成長していく姿が本当に格好良くて。

今回のダンジョン遠征の話は今まで以上に手に汗握る展開が多かっただけに、戦闘描写の一挙手一投足にどきどきしてしまった。

きっとこれから何度でも言うけど、13巻でベルくんの腕が切り落とされた時は本当に心臓止まるかと思った。

 

 

 

まずはベル不在の中、アンフィス・バエナと対峙することになったリリ達。

常に薄氷を踏むような総力をかけた戦いの中、みんなが成長していくのが本当にぞくぞくする。

アンフィス・バエナ戦においては命(ミコト)の決死の魔法に本当に胸が熱くなった。読みながら命(ミコト)がこのまま死んでしまうのではないかと頭をよぎったくらい満身創痍の状態であるはずなのに、それでも敵に対する魔法の手は緩めない。仲間たちもそんな捨て身の魔法を無駄にはしまいと、最大の一撃を見舞う展開は鳥肌もの。

その他のメンバーも、ここで敗北することは死を意味することを理解しながら、自分よりもまず仲間を思って命を賭すのがとてもよい。

 

今回のお話も多分に心臓に悪い展開ばかりなのですが、その最たる要素のひとつが、アンフィス・バエナを突破してなお襲い来る困難。

ここでは何といってもヴェルフの覚醒がとても印象に残っている。

際限なくモンスターが襲い来る中、ダンジョンの中で剣を打ち、そうして完成させた朽ちることのない魔剣。

完成後の「預かってた命、返すぞ」の台詞が格好良すぎた。

もちろん、ここに至って魔剣を完成させたヴェルフの才と狂気ともいえる覚悟もすごいけれど、仲間が必至でモンスターを食い止める中、急造の窯で剣を打つ、その信頼関係がもう。彼女たちなら時間を稼いでくれる、ヴェルフならきっとやってくれる、そんな信頼が眩しい。

 

そんな魔剣をもってしても、対処しきれぬモンスターの群れにアイテムも気力も体力も尽き欠けた頃、異端児(ゼノス)たちが窮地を救う展開にも本当にぞくっとした。

今回、本当に心臓に悪い展開が続いてて、これで打開だ!! 救われた!! と思った矢先に待ち受ける困難に何度手に嫌な汗をかいたことか.....。

 

 

 

なんと、ここまでで、まだ今回のお話の半分もいっていないというのだから驚き。

 

 

 

そして深層に落ち、生死の境を何度も彷徨うことになるリューとベル。

冒険者として経験豊富なリューがベルに手ほどきをしながらも、心の中では最悪ベルだけが生還してくれればいいと思いながら知識を授けているのが私にはとてもかなしくて。

ふたりとも生き残ることは到底困難な絶望的な状況である、というのもあるけれど、なによりリューが過去に所属していたファミリアの面々に対する罪滅ぼしのための死に場所を探しているみたいで。

 もちろん、そんなことをベルが許すわけがなくて。

今回のベルは本当に頼もしく思えるくらいに成長したと思っている。いっぱしの冒険者どころか手練れ感すら漂うくらい。

リューの教えから、わざと窮地を装い隙を作って返り打ちにする場面とか、リュー同様私の肝も冷えたけれど、いつの間にかこんなこともできるようになったのか! という驚きも大きくて。そういう時はいつも1巻で描かれていたベルと比べてしまうけれど、もう冒険者のスキルだけでみたら別人と言っていい程に見違えた。

 

それから、リューに対して優しい嘘を吐いてジャガーノートと対峙する場面も、もうミノタウロスに怯えていた頃のベルとは思えなくて。

きっとこれで、悪夢に魘されずに済む。

ベルはただそれだけを願った。

彼女には、全てが終わるまで、幸せな夢を見ていてほしいから。

 体中を筆舌に尽くしがたいほどの痛みが走っているはずなのに、それでも生還を願って立ち上がる姿が本当に格好良い。

 

 

 

そうして、長きに渡って描かれた危機も最後には切り抜け、無事全員生還することがきるのですが、そうして描かれるリューの仄かな恋心の描写に本当に危険は去ったのだとどこか安心してしまう。

恋という感情を抜きにしても、あの困難を切り抜けたリューとベルならばよい関係を築くことができそうで、今回の一連のふたりの覚悟を思い出しては一層ふたりのことが好きになりそう。

「クラネルさん」呼びではなく、「ベル」と呼ぶリューの姿をもっと見ていたい。

 

あとがきによれば次巻は日常編となるそうので、安心して発売を待ちたい。

ベルくんはダンジョンの内外で本当に人が変わるもの、この危機を乗り越えた先のみんなで笑い合う姿がどんな風に描かれるのか本当に楽しみ。

 

 

 

【「ダンまち」シリーズの感想はこちら。】