2018年迎えたどころか既に2週間近く経ちますが、タイトルの通りです。
こういうのは大抵年末年始のムードの中しめやかに更新されるものなのかもしれませんが、2017年下半期のまとめは次の半期が終わる2018年の6月いっぱいまでじゅうぶん許されるつもりでいるし、そう思えばまだ5ヶ月以上の余裕をもって忘れずに書いているので何なら褒めてほしいくらい。
それにしても2017年下半期も変わらず縦横無尽に本を読んでいたのですが、上半期に比べ更新頻度が低くなかなか思ったことを言葉に残しておくことができなかったな......と少し反省。
よく見れば2016年も同じように年の瀬が近づくにしたがって更新頻度下がってて笑う。
がんばれ。
2017年上半期に読んだ本に関してはこちら。
上半期に比べたら少数精鋭ではあるものの、これから挙げる物語もたまらなくいとおしいものばかりなので、私のすきな本のはなしを聴いてください。
『パドルの子』 虻川枕
この作品は世界観がたまらなくすきでした。
水たまりに潜りながら少しずつ世界を変えていく物語。
気付かないうちにどんどん世界のルールが変わっていき、読みながら「あれ?」と思った時には既に物語に呑み込まれている。
そしてなんといってもせつない結末。
この結末から得られるカタルシスが尋常じゃなくて、物語を読み終える頃には「最初からすっかり騙されていたことに気がつく」だけでなく、物語上その気付きによってもたらされたものが主人公にとっても大きな意味を持つというのが本当に素晴らしい。
よんでみて。
『お隣さんは小さな魔法使い』 有間カオル
これは同じく有間カオルさんの『魔法使いのハーブティー』と同じ世界観を描いた作品で、その作品がたまらなくすきで手に取った本でした。
お話自体は独立しているのでこれだけでも十分楽しめるのですが、なんといってもお隣の魔法使いの少女が健気で可愛らしいこと。
「魔法使い」と題されながらも物語は現実に即して進んでいき、実在の様々なハーブの香りやひとのあたたかさによって、誰かが救われていくのが本当にこころよい。
そしてこれまた最後に明かされる、主人公のもとに彼女が現れた理由が、読みながらにして「そうでなければいいな」と思っていたこととどんぴしゃりだっただけに、かえって救われたような気持ちになったのを今でも覚えています。
よんでみて。
『校舎五階の天才たち』 神宮司いずみ
自殺してしまった天才と称された同級生の死をめぐって、下駄箱にこっそり入れられた本人からの遺書によりなんでもない普通の主人公が「殺人犯」を探し出す物語。
この死に込められた理由はさることながら、「天才であること」「天才と呼ばれること」に関しての描写がかなり私の胸に刺さりました。
「天才」であるが故に歪んでしまった人々と行き着くその先を。
歪んでしまった、といっても、悪人は誰もいないのです。
だったらどうすればいちばんよかったのかな、という問いに対する答えのひとつが彼の死だと私は思っています。
かなしくはないよ、今はもう。
よんでみて。
『他に好きな人がいるから』 白河三兎
私が愛して止まない作家のひとり、白河三兎。
「せつない」という言葉の意味のほとんどを白河三兎さんの作品から教わった。過言ではない。
兎の被り物をして高所で自撮りを続ける少女と出会った少年の物語。
最後の主人公の選択がたまらなく優しくてせつない。
先程、私が以前書いた感想を読み返したのですが私が感じたせつなさに関して余すことなく書いてあって頷くことしかできなかった。
そこ、当たり前って言わない。
底抜けに明るい作品ではないし、手を叩いて笑って迎えられるような結末ではないのに、そこに替えのきかない感情を見出して、これはハッピーエンドなのだと言い張る私がいる。
よんでみて。
今年もまた、素敵な物語との出会いがありますように。