ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『あやかし夫婦は青春を謳歌する。』

『あやかし夫婦は青春を謳歌する。』 友麻碧

浅草鬼嫁日記 二 あやかし夫婦は青春を謳歌する。 (富士見L文庫)

 

浅草鬼嫁日記シリーズ2作目。

 

前回の感想はこちら。

shiyunn.hatenablog.com

 

前回ですっかり手鞠河童の気の抜けるようなゆるゆるとした可愛さにすっかりと虜になってしまった私ですが、今回のあとがきで作者の友麻碧さんにとってもなかなかに思い入れのあるキャラクターだということが判明。

表紙イラストの随所にも小さな河童たちが......。

今回も手鞠河童登場するのかな......と半ば本編そっちのけで不安と期待の入り混じったような気持ちで読み始めたのですが、よもや新たなマスコット的あやかしが登場するとは。これの破壊力がまた尋常ではなくて罪深いことこのうえないのです......。

 

 

※ネタバレ込みです。未読の方はご注意ください。

 

 

あらすじ

前回の百鬼夜行の件で、前世が茨木童子であるということが一部界隈にバレてしまった茨木真紀。

陰陽局からマークされたり、酒呑童子の生まれ変わりである天酒馨はそのことにより一層真紀の身を案ずるも、それでも真紀の人間としての、女子高生としての生活は何事もなく続いてゆく。

あやかしの厄介ごとに巻き込まれながら、解決しながら、真紀と馨は花火大会や学園祭を精一杯謳歌する。

 

 

 

あざとかわいさのかたまり、その名もおもち。

前回はあまりの癖になるゆるさに完全に手鞠河童を崇め奉る勢いだったのですが、そんな彼らの絶対的な地位が今私の中で揺らぎつつある。

真紀のおもちというネーミングセンスはひとまず置いておくとして。

鵺のひな鳥のツキツグミが文字通りこんな風に化けるとは。

見た目はふくふくとしたペンギンのひな。それでも知能は人間の赤子並み。

真紀の手にする食べ物をねだっては鳴き声を上げて、その羽をぱたぱたと動かすという......。なんとも末恐ろしいあやかしなのです。

しかし、手鞠河童だってここぞとばかりに存在を主張してくるあたり、もう本当にあれですよ、あれ。可愛さ頂上決戦ここに極まれりみたいなとこにある。

学園祭で運動部に対抗すべく文化部連合がテーマに掲げたのは、そう、河童。

これは、彼ら手鞠河童が事実上の、あるいは影の主人公と言っても差し支えないのでは?????

そんなお祭り騒ぎをSNSで聞きつけたとかいう手鞠河童たちが「よいしょでしゅ。よいしょでしゅ」とか言いながら列をなして学校に来る場面とか、今から想像するだけで知能指数下がりそうな勢い。

この話に出てくるキャラクター、こういう愛玩系だけでなくて、陰陽局の人も、学校の人も、他のあやかしも全員愛らしく思えてしまう部分があるのが本当にすごいと思うのです。

よくよく考えてみたら、この物語に出てくる人(?)たち、みんなすきだな? って感じ。

 

 

隠された力を久々に発揮、みたいなの、すきかもしれない。

そんな学園祭の最中、真紀の目の前に黒々としたあやかしが現れ襲い掛かろうとするのですが、そこで見せた馨の一連の行動が少年漫画的でかっこいい......。

人間として生まれ変わってから初めて使う妖術がかつての酒呑童子を十分に彷彿させる大技って、私にとってはサイコーの展開すぎる。

印を結んで瞬時に、学園と同じ構造の空間を生成して隔離するとか、かっこよくない? ねえ、かっこよくない?

結界の依り代(?)であるスプーンを馨のもとに運び続ける手鞠河童たちの活躍も私的に好ポイントな場面でした。

物語の前半で陰陽局が真紀の霊力値を計測し、その結果に「奴の霊力はやはりただものではない」的な展開があってその時にも、少年漫画っぽい! と思ったのですが、こうなると馨の霊力値はもっとバケモノじみているかもしれないですね。(酒呑童子という意味では、人間というよりかはどちらかと言えばもともとバケモノであるけれど)

その後、陰陽局員の津場木茜とちょっとした小競り合いが起こるのですが、それも馨の圧勝。勝負にもなっていないレベル。

それにしても真紀のピンチにはささっと臨機応変にスイッチの切り替えができる馨くんは流石である。前回を経て、何故か妙に「デレ」の方向にシフトしているし。

この2巻まで色んな場面を見てきたけど、多分、馨は真紀ちゃんの作った料理ならなんでもすきだな????

 

 

こういうあやかし大集合みたいなの、すきかもしれない。

最後の最後に登場したあやかしがまさか西洋の人狼だとは思ってなくて、本当に古今東西遍く「この世ならざるもの」が作中にたくさん登場してきて、本当にわくわくしました。

真紀の眷属にはならなかったけれど、今回の「借り」が今後どんな形で返されるのか、本当にたのしみ。

前回手鞠河童たちをこき使っていた牛鬼も少しですが登場し、態度はすっかり丸くなっていて、こうやってトラブルを解決するごとに少しずつ賑やかになっていく感じ、たまらなく好きなんです。

 

 

読みながら、頭をふわふわとよぎった物語がいくつかあって。

漫画で言うとヤスダスズヒトさんの『夜桜四重奏』。

 

この漫画にも遍くあやかしと、まさに妖怪の妖力等を計測して管理しようとする今回で言う陰陽局みたいな組織も登場するので、本当に色んな部分でぱちぱちと線が繋がって、読んでいて楽しくて仕方がなかったです。

本当に『夜桜四重奏』の、トラブルを解決するごとに街が賑やかになっていく感じが好きなんです。

こう、ただの協力関係ではなくて、本当に街の一員になって和気あいあいと過ごす感じ。

 

前にもどこかで書いていると思うけれど、こんな風に色んな作品がぶわっと頭に展開する瞬間、というのも本を読むことの楽しみのひとつだと思うのです。

 

 

それから青崎有吾さんの『アンデッドガール・マーダーファルス』シリーズ。

アンデッドガール・マーダーファルス 1 (講談社タイガ)

アンデッドガール・マーダーファルス 1 (講談社タイガ)

 

 (感想はこちら

 

これもあやかしどころか古今東西、空想上、物語上のキャラクター大集合みたいな小説で、「あーーー、それ聞いたことあるやつだ!」っていうキャラクターがたくさん出てきて楽しい。

そして元ネタ読みたくなる調べたくなる、という意味ではどちらも罪深い。

 

 

 

 

 

作者あとがきによれば、既に三巻刊行の目途もついているようで、続きが早く読みたくてしかたがないです。