『アンデッドガール・マーダーファルス 2』 青崎有吾
講談社タイガより刊行されている、シリーズ2作目。
青崎有吾さんと言えば、『体育館の殺人』に始まるミステリシリーズも評判ですが(まだ読めてない......)、今回は完全にバトルものだよ、これは!
あらゆるロマンがこれでもかってくらいに詰め込まれてて、設定、あらすじ聞くだけで心躍る......。
以下、ネタバレを含むのでご注意ください。
今作主人公たちとホームズとルパンが、(ジュール・ヴェルヌの『八十日間世界一周』の)フォッグ邸のダイヤを巡って火花を散らす。
『オペラ座の怪人』のファントムとルパンが手を組むとは思ってなかったんですが、確かに言われてみれば案外しっくりくるかもしれないですね、
そこにロンドンの保険機構ロイズの屈強な人たちが混ざって、バトルロワイヤル状態。
おまけに最後には、漁夫の利を狙ってモリアーティ教授が人造人間やヴァンパイアを引き連れてくるものだから、お祭り状態。
ここまで挙げたキャラクターが一堂に会しながらも、ごちゃごちゃしすぎていないところが本当にすごい。何よりどのキャラクターにもちゃんと見せ場があるし。
ホームズシリーズとか読んだことないのに、ちゃんとホームズはなんとなくホームズっぽい、ってところも。(この発言、ややもすると多方面から怒られそう......)
後半の大乱闘シーンでは、バトル漫画の演出ではよく見かけるような、複数の組織が至る所で戦いをしている様子がめくるめく場面転換しながら描かれていました。一方、彼は......みたいな。
まさにそれをそのまんま小説にした、という感じで戦況が変わりゆくにつれ共闘したり、対決中に起こったある出来事が他の戦っている人たちにも影響を与えたり。
コミカライズ版も読んでいるのですが、絵が本当に緻密で原作のひょうきんな部分だったりどこかおどろおどろしい部分だったり、あますことなく表現されているので是非......。
特に今回のお話とかそれこそめちゃくちゃ漫画映えすると思うので、マンガではどんなふうに動きが描かれるのが、ほんとに楽しみ。
バトル要素だけじゃなくて、ちゃんとミステリ要素や今までやこれからのお話に連なりそうな情報もいくつかありました。
例えば、ダイヤを巡ってのホームズとルパンの頭脳戦は本当にどちらもカッコよくてため息。ちなみに私はどちらかと言えば、怪盗のルパンの方によりロマンを感じます。
名探偵コナンで言うところの怪盗キッドに対するロマンと同じです。
なんていうか、作中でも言われてたけれど、犯行そのものが芸術だよね????
それから、鴉夜の身体にまつわる経緯だったり、津軽が半人半鬼になった理由だったり、モリアーティ教授の目的だったり。
しかし、1巻の時は怪異ものなのかしら、とも思っていたのですが、実は虚実混ざった有名キャラクター勢ぞろいオールスター物語だったとは......。
次はとりあえず人狼が出てきそうだということは今回のお話の流れから想像に難くないけれど、その他にどんなキャラクターが出てくるのか今からすごくわくわくします。
今後もミステリ要素もありながら、バトル展開も望めそうなので続きが本当に楽しみ。