ゆうべによんだ。

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『さよならがまだ喉につかえていた サクラダリセット4』

『さよならがまだ喉につかえていた サクラダリセット4』 河野裕

さよならがまだ喉につかえていた サクラダリセット4 (角川文庫)

 

新装版サクラダリセットシリーズ4作目。

全7作品刊行予定のちょうど真ん中にあたる今作は短編集でした。

アニメ化、実写映画化の情報も次々と公開されてきて、ひときわ思い入れのある作品だけになんだかそわそわとしてしまいます。

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まず本編とは少し逸れた時系列で語られたり登場人物の違った一面を見ることができたりするのですが、ケイや春埼の年相応らしさがちょっと垣間見えて非常に微笑ましい。

『ある日の春埼さん』のお見舞い編、友達作り編ではなんというか春埼の一挙手一投足、その言動をまるでわが子のように見守ってしまいました。

きっと他の女の子だったらこれほど魅力的に見えないであろう小さな悩みもあの春埼が悩んでいるの思うととても可愛らしくみえる不思議。

普段は能力に関する悩みというのもあって、痛々しいくらいに信念を貫き通そうとするケイたちをどこか遠い遠い存在だと思っているような部分があったのですが、事件がなければこんな一面も見せるのかとどこかほっとします。

それにしてもいつの間にか春埼に対していちばん初めに抱いた印象から随分感情豊かになったように感じられていることにびっくりします。

 

 

 

このシリーズに登場するどのキャラクターも好きなのですが、特に野ノ尾盛夏が好きです。

この「好き」は同著の別作品「階段島」シリーズで言う、時任さんが「好き」と同じような「好き」です。

野ノ尾さんも春埼もどちらかと言うと他人に対して無頓着で必要以上に干渉しないけれど、何故だか春埼程危なげない印象は受けないです。

どちらもある一定の信条があるけれど、春埼はルールありきで限りなく感情を殺しているのに対し、野ノ尾さんは感情ありきでルールを組立てているような気がします。

 何より猫好きというのがよい。

 

 

これまでのお話を補うような短編

 

今までがサクラダリセットシリーズの前半だとすれば、次の5作品目からが後半。

ケイの手によって計画通り「生き返った」菫が何をどんな思いでやり遂げようとしているのか。

それから、5巻の話が実を言うと一番印象に残っているので読むのが本当に楽しみです。印象に残っているといってもそこに至るまでのシチュエーションや言葉の一言一句まで正確に覚えているわけではないので、ゆっくりゆっくり噛み締めるように読んでいきたいです。