ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『少年Nの長い長い旅 01』

『少年Nの長い長い旅 01』  石川宏千花

少年Nの長い長い旅 01 (YA! ENTERTAINMENT)

 

講談社タイガより刊行されている『少年Nのいない世界』に至るまでを描いた物語。

shiyunn.hatenablog.com

 


 

こちらも「いない世界」同様、随分前に読み終えていたのですが、今月末にこちらの2巻が発売予定と聞いてブログにまとめておこうと思って。

 

「いない世界」を読んでいる際に試し読みが挟み込まれていて、それでこちらの「長い長い旅」の存在を知りました。

児童書のレーベルにあたるらしく、「長い長い旅」を探すのに久しぶりに児童書の棚に足を運びました。

本の並び方が出版社順でなくて、低学年向け、中学年向け……と並んでいてなんだか新鮮でした。

 

 

 

五島野依を主人公として、異世界に飛ばされるまでの経緯とその後が描かれているのですが、この野依くんめちゃくちゃしっかりしててかっこいい……。

偶然にも異世界に飛ばされた後、ばらばらになることのなかった野依と「いない世界」でバレエをしていた音色。

正義感の強い少年として描かれているのですが、幼馴染の音色のために勇気を振り絞って果敢に困難に立ち向かう姿は本当に頼もしい。

 

言葉や勝手が分からないながらも、音色を守ろう生き抜こうとする野依の頑張りが丁寧に書かれていて、どこか前時代的にも思えるような通過儀礼もちゃんとこなして最後には音色の隣で人々の祝福を浴びているの、本当にほっとする。

 

ざっくり言うと、命懸けで塔にのぼる試練にただひたすらに挑み続けるのですが、何度も言うように音色のために幼馴染のためにっていうのがぐっとくる。たまらん。

小学生で野依自身も心細い気持ちはあるだろうに……。

 

 

「いない世界」では、非情に描かれていた世界観も今回の「長い長い旅」ではどこかファンタジックに描かれていて、展開にどきどきわくわくはあるものの絶望感はなく、野依くんをどこか応援する気持ちで読んでいました。

......お察しの通り、この野依くん、私の中でもかなりお気に入りな登場人物なのですが、その未来を描いた作品のタイトルで既に「いない」と言われていてなきそう。

こんなにもしっかりとしたいい子なのに......。「いない」って......。

それは、悲劇的な「いない」なの? それとも自己犠牲的な「いない」なの? それともそれとも実は思わせぶりなタイトルは伏線で「N」とは野依くんじゃなくて、的な???

「いない世界」に至るまで、この「長い長い旅」シリーズでどこまで描かれるのか分かりませんが、ゆっくりゆっくり追いかけていきたいです。

 

 

 

「長い長い旅」は児童書ということだけれど。

今、小学生くらいの読者がもう少し大きくなった後に「いない世界」を見つけたとしたらきっとすごく感動するだろうな、と思うと小学生が羨ましい。至極羨ましい。来世は小学生になりたい。

 私の場合もそうなのだけれど、小学生の頃に好んで手に取った物語って、それがはっきりとしたものではなくてもいつまでも記憶や心の中に残り続けるような気がします。