ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『いつかの空、君との魔法』

『いつかの空、君との魔法』  藤宮カズキ

いつかの空、君との魔法 (角川スニーカー文庫)

 

書店でぴかぴか光る帯と素敵な表紙に夜光虫みたいに引き寄せられて手に取った作品。

そんな気軽に手に取った作品なのですが、世界観が私の好み過ぎてたまらない。

 

……いつまで空とか魔法とか、そういうものに心ときめいていられるだろう、と思ったけれど、たぶん、ここまできたら死ぬまで変わらなさそうな気がしています。

 

 

 

ときめきポイント挙げたらキリがないんですが、まず魔法が使えるのは精霊の声が聞こえる少年少女たちだけで大人が使うのは魔術なところ、とか。

箒に乗れない大人たちが使う主な交通手段が、有翼鯨(ジャンボ)や鰭飛び(マンタ)という、読み始め9ページにしてもはや空飛ぶ魚介類がいるだけではなまるつけたくなる……。

私も箒に乗って、空飛ぶクジラやマンタの近くを一緒に遊泳したい。しぬまでになんとか、ごしょうだから。

空は常に雲で覆われていて、そのままにしておくと精霊が街と行き来できなくなり、クジラやマンタが飛べなくなるだけでなく、精霊欠乏により人々の体調も悪化してしまう。

 雲を払うことができるのは、ヘクセと呼ばれる魔法使いの少年少女たちのみ。

主人公の少年カリムも、ヘクセとして雲を払うことができるものの、幼馴染の少女揺月との間に起こったとある出来事により、カリムは空を高く飛べなくなってしまったため、雲払いとしては三流の扱いを受けている。

 

 

 

 

……いや、本当に世界の細かいところまで描写が綺麗で頭の中でカリムが巧みに精霊を操る姿が今でも目に浮かぶよう。

 

カリム、雲払いとしては三流なんですが、精霊を扱う才能は一流で色んな姿形に変えて動かすことができるようで、ヘクセとして雲払いを行う際の「パフォーマンス」は街中の人が作業を止めて見入るという。

 

 

 

 

 

 

過去のアクシデントから、すれ違ってしまったカリムと揺月のすれ違い具合もまたたまらない……。

 どちらも相手のことを思っているのに、つい本音を隠してしまい顔を合わせればぎくしゃくとしてしまう感じ。

相手のことを思っているが故に突き放したような態度をとってしまう感じ。

 

 

世界の設定、文章の構成としても、いくつか対比して描かれていて、
色鮮やかで賑やかな世界で暮らすカリムと灰色の世界の中寂しく暮らす揺月。
物語の始まりも終わりも、カリムの元に揺月からメッセージが届く場面があるのですが、2人の関係性は大きく変化していて。

 

私にとって色々なものが綺麗すぎて、ひらがなで書かれた「たからものばこ」に入れておきたいような物語でした。 

 

 

 

ふらいんぐうぃっち』を読んだ時も思ったけれど、友好的な存在としての空飛ぶクジラってもはやロマンの塊でしかない……とうとい。