ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『文句の付けようがないラブコメ 2』

『文句の付けようがないラブコメ 2』 鈴木大輔

文句の付けようがないラブコメ 2 (ダッシュエックス文庫DIGITAL)

 

身を挺して世界の崩壊を食い止める神鳴沢セカイと、彼女を苦しみから救い出したい霧島優樹の物語。

前回の終わりから世界は新しく生まれ変わり、2人で交わした約束も優樹の救い出してやるという決意も何もかも忘れ去ったまま、2人は今度は高校のクラスメイトとして再び出会う。

 

 

 

まるでそうであることが予め決まっていたかのように、2人は仲良くなっていくのですが、読者としてこれから待ち受ける大きな問題がわかっているだけに手放しで喜ぶことができない。

セカイの面倒を見ているメイドさんのおチヨさんに唆されて、デートをすることになり、場所はどこでもいいと言うセカイに優樹はもう少し贅沢してもいいよ、と言う場面があるのですが、「お金をかければ贅沢というわけでもないだろう」(p.167)というセカイの言葉が、もう、色々と胸にくる。

何気ない台詞なのですが、身を削ってひとりぼっちで世界と向かい合ってきたセカイにとってはきっと優樹が話相手になってくれるだけで、きっと幸せで、その部分は前の世界にいた頃と何も変わらなくて、でも、この世界の終わりもはっきりと目に見えていて、こんなあたたかなやり取りの記憶も結局はすべて忘れちゃうことになっちゃうんだろうな、あああああ、って。

前回はどこか子供っぽい素直なセカイの仕草にほっこりしていたのですが、今回から終わりを知っているだけになんだかそういうセカイの背伸びをするような一面に出くわす度に、もちろん心からセカイを愛でたくなる気持ちもあるのですが、それに加えてなんだかそわそわと落ち着かなくなってしまう。

 

 

 これから先、読者として最後には無かったことになってしまうと分かりながらも、何度も2人の笑顔やプロポーズを見届けることになるのでしょう。
そういう刹那的な幸福感が出てくるお話がとびきり好きで、この「好き」を上手く言い表せないのですが、例えばうだつの上がらない日常でも、状況によってはとびきりの幸福になり得るのが好きなのかもしれません。そこに希望を見出しているのか諦観を見出しているのか、私自身、よく分かっていないのですが。
もう、明日には違うことを言っている可能性すら、あります。
 
 
 
 
そして、今回、優樹の妹ちゃんの出番もたくさんあるのですが、この妹ちゃんの発言の所々で世界にまつわる事情を知っているような素振りを見せていて、只者ではない雰囲気がありあり。
とりあえず、優樹に対する愛情が異様に飛び抜けていることだけは、私でもわかる。
 
 
 
今回は2巻と3巻合わせて「ひとつ」の世界の終わりということで、この世界が終わる前に優樹はどんな思いで終焉を迎えることになるのか、とても気になる。
 
 
 

 前回の感想は、こちら。

shiyunn.hatenablog.com