電撃文庫より刊行されている「青春ブタ野郎」? 「青ブタ」? シリーズ2作目。
前回の感想はこちら。
※以下、これまでの内容含め、物語について触れています。ネタバレを避けたい方はご注意ください。
前回の最後の気になる終わり方からそのまま流れるように今回のお話へ。
どうやら咲太は、同じ日を何回も繰り返しているらしい。そしてそのことに気が付いているのは咲太だけのようで。
友人の双葉に相談したところ、双葉は、少なくとももう一人「やり直し」に気が付いている人物がいるはずだという。
そしてその人物こそが、この「やり直し」の原因であり、ラプラスの悪魔である、と。
触りではあるけれど、ラプラスの悪魔の意味を初めて知った私......危ない危ない、出会うのが数年早ければいろいろなものを拗らせていたかもしれない。ただ、「それはラプラスの悪魔の仕業だね」って何気なく日常で言いたい欲はある。何気なく、ね。
「前日」との相違点を探すことで、咲田は後輩の古賀朋絵がラプラスの小悪魔であることに気が付く。
友人が好意を寄せている先輩から告白されるのを避けたくて何回もやり直すって、どこぞの『時をかける少女』の真琴よ。
その対処法として、一学期の間だけ、という約束で咲太は朋絵の恋人のフリをすることを頼まれる。
妹の過去の出来事がある手前、断り切れない咲太。一方、麻衣先輩に続けていた告白の方もややこしいことになってしまって。
とりあえず、駅の場面にて2016年の中で一番清々しい開き直りをみた。
そんなどこか調子の外れた二人のやり取りを、微笑ましく思いながら読み進めていたのですが、途中でこの恋人ごっこの幕引きがこうであったとしたらたまらないな、というある思いが過る。
色々と結末を仄めかすような描写があったので、終盤の展開には、やっぱりか、と思いながらもとてもやるせない。
『さくら荘のペットな彼女』のアニメを観たので、そういうことをやる作者さんだと思っていたけれど、この残酷なまでにやり場のない恋心がとても胸にくる。
約束の一学期が終わったはずなのに、終業式の日を繰り返してしまい、夏休みを迎えることができない。
朋絵自身、気持ちにけじめをつけなければと頭では分かっていても朝目が覚めたら日付は進んでいないどころか気持ちだけは大きくなってゆく。
これが終わったら友達になる、と咲太と交わした約束がより一層、朋絵の心を乱す。
叶わないと思いながらも、咲太の麻衣先輩への思いは変わらないと知りながらも、朋絵は恋心をちゃんと認めてあげないと、文字通り前には進めないなんて。
結末の描かれ方に想像以上に心揺さぶられてしいました。
何が悪いって、思春期症候群が諸悪の根源ではあるのだけれど、自分に嘘ついてまで続けてきた友人関係に必死で色々なものから目を背けてきた朋絵に対する、罰のようなものなのかな、とも思う。発症したということは、それだけ精神的に朋絵が無理をしていたということでもあって。よく言えば、ショック療法。
前回は大団円で終わった一方、苦い結末になってしまった今回。
でも、こういう雰囲気の小説、たまらなくすきです。
最後の最後には、いつか登場すると思っていた、咲太の初恋の相手が登場したのですが、まさかの中学生の姿ってどういうことなの......。
タイトルから察するに今度は、双葉にスポットライトが当てられそうで、また恋愛がらみになるのだとしたら、またほろ苦い結末が待ち受けてそう......読みまなくちゃ。