ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『記憶屋Ⅱ』

『記憶屋Ⅱ』  織守きょうや

記憶屋II (角川ホラー文庫)

 

 

『記憶屋』(『記憶屋』 - ゆうべによんだ。)の続編にあたる物語。

 

まだはっきりとした繋がりがあるわけではないですが、おそらく……『記憶屋』の10年後の話になるのでしょうか。

前作の記憶屋の名前を覚えておくと、おやっと思える部分があると思います。

 

記憶屋についての正体を追いかける新聞記者の猪瀬の口から10年前に小さく噂になった後、記憶屋の噂は1度下火になったことが語られます。

 

しかしその数年後、再度記憶屋の存在が噂され始めたのをきっかけに猪瀬は、記憶屋と接触したと思われる少女たちのもとを訪ねてゆく。

 

猪瀬が聞き込みをする場面と、少女たち自身の記憶屋と関わった際のお話が交互に続く形で進んでいくのですが、記憶屋、記憶を消すことに対する少女たちの思いが様々できっと正解などないのだ、と思う。

 

前巻の『記憶屋』にて、記憶屋の正体を知っている私としては、今回の記憶屋ぐ が同一人物であるのか、まったくの別人であるのか気にしながら読み進めました。

まだ決定的ではないですが、どうやら前回とは別の記憶屋である可能性が高そう。

 

今回、記憶屋は何を基準に記憶を消してゆくのか、と語られる場面があるのですが、記憶屋はどんな思いを抱えて記憶を消すのだろう。

 

自分の中の確固たる信念に基づいて記憶を消しているのか、案外行き当たりばったりで記憶を消しているのか、

善い行いをしているという意識なのか、なんとも感じていないのか、等々。

 

前回の感想でも、もしかしたら触れたかもしれませんが、記憶を消した人は救われても、そのまわりの人が傷ついてしまうことがある、ということがきっとそれぞれの記憶屋に対する思いを複雑にしている。

 

その中で、今回の『記憶屋Ⅱ』に収められている物語は、勧善懲悪、成長という意味では比較的「よい」結末を迎えているように思います。

リナの問題に関して、1度は記憶屋を頼ったものの、実際に問題を解決したのはリナ自身だと思うのです。

記憶屋を頼ることは、記憶以外のものまで置き去りにしてしまうことだと私は思っていて、そうやって置き去りにしてしまったものまで含めて、ちゃんと自分なのだと言い切れる強さがリナにはあったからこそ得られた結末だと思うのです。

 

今回では記憶屋にまつわる謎が残されたままはっきりとした続編という形で次巻に続きます……きになる。

記憶屋としての目線で語られるお話はあるのかな、と少しどきどき。

 

 

 ……余談ですが。

冒頭にて、芽衣子という名の少女が、色素の薄い髪の毛を「アニメの人みたい」と意地悪くからかわれる場面で、「あの花」に登場するめんま(本間芽衣子)だ! と思ったのは、おそらく私だけではない、はず……。