ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 上』

『BISビブリオバトル部 1 翼を持つ少女 上』  山本弘

 

BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女〈上〉 (創元SF文庫)

 

気になっていた作品が文庫化したので!
 
国際式豊かな学園、BISのビブリオバトル部を舞台にしたお話。
 
それぞれが紹介したい本を持ち寄り、プレゼンテーションをして、最後に順位を付けるビブリオバトルというものが実際に各地で行われているのは知っていたのですが、それが一体どんなお話になるのか気になって。
 
 
 
上巻にあたる今回のお話では、主要人物の1人である伏木空(表紙イラストの女の子)がビブリオバトルと出会い、入部を決めるまでが描かれています。
この空がとんでもなくSFオタクで、湯水の如くこんこんと話し続ける場面がいくつも登場します。
そのSFへの傾倒っぷりたるや、ビブリア古書堂シリーズの栞子さんを思い出しました。

 

 

 

 

 

 

あまりにもディープで、初めて見聞きする作品や筆者の名前が次々に空の口から飛び出すのですが、あまりにも一生懸命語るので、私も古典SFの世界に片足突っ込んでみたくなりました。
そんな中で時々、私の知っている名前が出てくるとなんだか嬉しくなってしまう。
あ、それなら知ってる!  と。
『アルタイルから来たイルカ』とか『時間溶解機』とか、まったく未知の作品ですがタイトルだけですごくそそられる……。
 
 
 
また、もう1人の主要人物である埋火武人の家には祖父が集めた数々のSF作品が眠っているのですが、「廃刊」になった作品が所狭しと並んでいるのを想像するだけで涎が出そう……。
武人は、ノンフィクション作品しか読まないということで、主に小説しか読まない私としてはすごくもったいない、と感じてしまう。
多分、逆もまた然り、なのだろうけれど。
 
 
 
 
また、ビブリオバトル部の面々もとても個性的で、実際にビブリオバトルをする場面が描かれているのですが、どの本も読みたくなる……。
 
ビブリオバトルのルール上、読みたい作品ひとつにしか票を投じることしか出来ないのですが、私が選ぶならと考えると、どうしても最後の最後で決めきれない2つが残ります。
 
 
ひとつは、『不確定性原理』。

 

 

 

新装版 不確定性原理―運命への挑戦 (ブルーバックス)

新装版 不確定性原理―運命への挑戦 (ブルーバックス)

 

 

 

 

普段ならばきっと手に取ることは無さそうな本なのですが、紹介している菊地先輩のとあるひと言に完全に心撃ち抜かれてしまいました。
 
「大リーグボール1号が古典物理学的なボールであったのに対し、大リーグボール2号は量子論的ボールである——というものです」

 

おそらく『不確定性原理』からの引用だと思うのですが、アニメの現象を真っ向から量子論で切り込んでいるのがちょっぴり可笑しくて。
巨人の星』は名前しか知らないのですが、他にも色んなものを題材に物理の話を分かりやすく書いてあるようで、すごく読みたい。
 
 
 
 
もうひとつは、『ウミウシ  不思議ないきもの』。

 

 

 

ウミウシ―不思議ないきもの

ウミウシ―不思議ないきもの

 

 

 

 

もともと海のいきものにとてつもなくロマンを感じていて、‘こういうもの’にすごく弱いのですが、銀くんの一生懸命な説明はさることながら、ミノウミウシの仲間の説明にノックアウトでした。
毒針を持った他の生物を食べて、その毒針だけ消化しないで、敵に襲われたらそれを発射する、ってなにそれ、かっけー。
 
また、作中では、銀くんが実際に写真集のページを開きながら説明しているのですが、それを物語として読んでいる私からするとそのウミウシの姿がどんな色や形をしているのか想像の上でしか結ぶことができないので、実際に手に取って写真を眺めてみたくなります。
 
 
 
 
 
 
 
そんなこんなで、空がビブリオバトルと出会い、成長していく物語として読むことが出来るのはもちろんのこと、多岐にわたる様々な作品が登場してきて、非常に罪深い作品でした。
いや、本当に……。
これでまだ上巻なの……。
 
 
どれだけ本を買ってもなくならないおかね
無限に本を詰められるほんだな
そんなSF世界を生きたい……。