ゆうべによんだ。

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『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 10』

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 10』 大森藤ノ

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 10 (GA文庫)

 

※既刊含め内容に触れている部分があります。ネタバレを避けたい方や未読の方はご注意ください。
 
 
 
 
 
ダンまち」シリーズ10作目。
9巻からの続き物。
すっごく濃いお話で、世界観の広さに本当にどきどきする。
特に今回は、主要人物が総揃いで物語のはじめから今までの時間の流れや成長を感じずにはいられなくて、ちょっとした事柄に触れられる度にほんのり懐かしくて……。
 
 
では、ひとつひとつ思ったことを。
まずは、話のメイン、知性を持ったモンスター『異端児』達やウィーネについて。
今回の悪役が本当に残虐で、密輸の為に捕獲するため、不要な『異端児』を磔にし、おびき寄せた上で不要な物は切り捨てて行く。
そんな卑劣なやり口に怒り心頭、モンスターとしての荒々しい本性と理性の間でゆらゆら揺れる『異端児』たち。
そんな『異端児』の立場を確立させてあげたい魔術師のフェルズやベルくん。
『異端児』たちがリヴィラの街を襲撃した際の動乱っぷりを読んだ時は、本当にざわざわしました。
この後どうなっちゃうんだろう、
 
『異端児』の存在は限られた者たちしか知らない故、多くの冒険者が地上待機を命じられる中、ウラノスの意向で秘密裏にダンジョンに向かう。
あの、ダンジョンに入る前の雑踏の中で、ベルくんがファミリアのメンバーと交わす眼差しが印象的。
 
悪役のディックスとその祖先たちが血に狂って作り上げた迷宮もスケールが大きすぎて目眩がしそうでした、
今回、かつてないくらい多くの血が流れて、ベルくんの行動に『異端児』たちは心動かされるも、ベルくんはディックスの偽善者という言葉がいつまでも心に残る。
 
大きな竜の姿になり、地上に出て我を失って街を歩き回るウィーネ。
駆逐対象として見做される中、なんとかしたいベルくんの葛藤とぐるりと絡まる偽善者の言葉。
もう、この時のベルくんの思いの描かれ方が……。
保護者のような目線でベルくんを見てる私としては、すごく切ない気持ちに……。
 
『異端児』を知らない大衆からは、傍若無人な振る舞いに見えてしまい、多くの人に迷惑をかけてしまったにも関わらず問題を完璧に解決しきることのできなかったベルくんの無力感。
物語の終わりのエイナさんとのやり取りがとてつもなく印象に残ってます。
説明を求められても口を閉ざすことしか出来ず、すっかり失意の底にあるベルくんが次巻以降晴れやかになるのを切に願います。
 
 
物語の流れとしてウィーネが死んじゃうのかと思ってどきどき、
そうしたらフェルズが念願の蘇生魔法を発現させ詠唱の演出にフェルズが死んじゃうのかと思ってどきどき、
『異端児』に関しては、事柄が一段落しただけで、まだまだ問題は山積み。
めちゃめちゃ強い漆黒のミノタウロスの存在がとても気になります。
……というかあの描写のされ方、並大抵の冒険者じゃどれだけ束になっても到底太刀打ち出来なさそう。
 
 
 
 
他の登場人物について。
読み終えて、目次のところのヤスダスズヒトさんのイラストを見て思ったのですが、アスフィ、リュー、アイシャの3人組の雰囲気結構好きです。
なんとなくヤスダスズヒトさんの『夜桜四重奏』という漫画の中のじゅりさん達をなんとなく彷彿させる感じ。
普段は色々と物言わぬ人たちも、3人集まったら思ったことずけずけ言いそうな感じ。
アマゾネスのアイシャは、もともと歯に衣着せぬ物言いしそうだけれど……。
 
 
 
そしてあとがき!
竜娘、チキ(ゲーム『ファイヤーエムブレム』シリーズに登場する)の名前が出てきて思わずにっこり。
前巻の時に書いたのですがやっぱりマムクートっぽいですよね!
 
そして外伝小説である『ソード・オラトリア』の存在はもちろん知っていて、気になってたのですが、どうやらザッピングシステムかわ組み込まれていたり想像以上に密接に関わっていそうで、これはもう読まざるをえない……。
 
そして限定小冊子に描かれたぽんかん⑧さんのヘスティアのイラストもあどけなくてよきかな……。
 
 
 
 
いやー、でも、もう、本当にとにかく今回の話はベルくんの失意がすごく心に残る。
きっとヘスティア様も他のファミリアのメンバーも、そんな辛そうにふさぎ込んだベルくんの顔は見たくないだろうな、と思うとやるせない。
 
次巻は10月発売予定との事らしく、9→10巻が発売されるの間と比べると随分短いので、しっかり待てそう。
……その間に外伝も読まなくちゃ。
 
 
 

 

【「ダンまち」シリーズの感想はこちら。】