ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『シャーロック・ノートⅡ  試験と古典と探偵殺し』

『シャーロック・ノートⅡ  試験と古典と探偵殺し』  円居挽

シャーロック・ノートII: 試験と古典と探偵殺し (新潮文庫nex)

 

 
新潮文庫nexから刊行されているシリーズ2作目。
相変わらず片山若子さんの装丁イラストが好みどんぴしゃでたまらない……。
 
 
前作に増して今回のお話、めちゃくちゃわくわくしました。
以前の感想でも触れた通り、キャラクターがすごくしっかりしていて、話の流れが王道の少年漫画のようで、やっぱり最後はそうでなくちゃ!  と膝を打ちたくなりました。
 
 
 
まるでヒーローのように探偵が名実共に花形の職業として成り立っている世界。
剣峰成の通う探偵養成のための鷹司高校で起きたカンニング事件を皮切りに、事は次第に大きくなり、成が生徒会裁判にて立証することになるのですが、その裁判でのやり取りでそれぞれの立場が二転三転する様はとてもぞくぞくする。
 
前作を読み終えた時の印象に比べ、自分の力量を客観視して、随分と丸い性格になったように思える成の葛藤、そしてピンチを迎えた後の全てを覆す決断が本当に痺れる……。
 
 
 
また伝説の名探偵として金田一が登場するのですが、表面上は好々爺として描かれていながらも鋭い洞察力を持つというキャラクターがすごく渋い。
思わず金田一の前ではたじたじな様子の成がなんだか微笑ましい……。
 
今思えば、今回表紙に描かれている太刀杜からんと金田一の2人は凄く気が合いそう……なんていうか見た目おっとりのんびりしていながらも、にこやかな表情の裏では頭脳がフル回転していそうなあたり。
 
 
 
それから、次第に深まる成とからんの一蓮托生っぷりに、ますます「2人」としての活躍が見てみたくなる。
今の所、2人の間に、はっきりと好意や敵対心と呼べるようなものは存在せず、あるのは信頼のみっていうのがとてもよい。
今後いろいろ関係性が変わってしまうこともあるかもしれないけれど、2人揃えば最強なんだ、という雰囲気は損なわないでいて欲しいな、と思うのです。
 
 
本当に純粋に何も考えずに、気軽に世界観に入り込める作品のひとつなので、続きがとても楽しみ。
まだまだ悪い人たちが控えていることを匂わせる描写が随所にあって、今後、どんな能力を持ち合わせた敵が現れるのかすごく気になる……。