ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『僕は何度でも、きみに初めての恋をする。』

『僕は何度でも、きみに初めての恋をする。』  沖田円

僕は何度でも、きみに初めての恋をする。 (スターツ出版文庫)





新しくスターツ出版文庫が創刊ということで、少し気になったので手に取ってみました。

なんとなくタイトルの雰囲気や装丁イラストをカスヤナガトさんが描いているというところから、七月隆文さんの『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』を思い出しました。

カスヤナガトさんも平積みされていると、つい手に取ってしまうイラストレーターさんのひとりなんですよね……。





帯にもあるように、スターツ出版株式会社が運営している小説サイト上に投稿された作品のひとつみたいです。
ネット上で大勢の人の目に触れた作品が、書店に並んで、私みたいな人たちが手に取ることを考えると少しわくわくします。




両親の不仲に悩む高校一年生の女の子、セイは、ある日公園でカメラを構えた少年、ハナに出会う。


セイはハナの自由で柔らかな雰囲気に振り回されながらもその人柄に惹かれてゆく。

何よりもハナがとてもよい少年すぎて。
「綺麗」なものを見つけるのが得意なのですが、そうやっていろんなものを綺麗だと感じることができる感性って才能だと思うのです。
親が喧嘩をし合う家には居づらいセイに、そのままのセイを綺麗だと言って居場所を与えてくれるハナ。
どんな憂鬱も、手で掬い取って、ひと息で吹いてとばしてしまうような。
問題を解決してくれるわけではないけれど、問題に向き合うための大事な何かをくれるような。


そんな周りの世界に対して素直なハナですが、彼がそうやって世界を受け入れるようになったひとつの理由。
彼は1日しか記憶がもたない。
だから、その時に綺麗だと感じたものすべてを、メモに、写真に残しておこうとする。
一週間フレンズ。』でも感じたのですが、覚えていたいのに指の間から砂がこぼれ落ちていくように記憶が欠けていくのは、とてもやるせない……。

一週間フレンズ。(1) (ガンガンコミックスJOKER)

一週間フレンズ。(1) (ガンガンコミックスJOKER)




過去の事故をきっかけに記憶を失うようになってしまい、日に日に記憶が持続する時間は減少してゆく。
誰よりも綺麗な世界が好きなのに、そんな綺麗な世界に住む好きな人たちの迷惑をかけたくなくて、悲しい顔が見たくなくて逃げ出してしまいたいという苦しみをひた隠しにする。
誰よりも、綺麗な世界が、好きなのに。



主人公のセイを中心に物語が進んでいくので、あまりハナからみた世界というのを読んでいる間は意識していませんでした。
ひととおり、読み終えて、もう一度タイトルと表紙をじっくりと眺める。


『僕は何度でも、きみに初めての恋をする。』