ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『ぺてん師と空気男と美少年』

『ぺてん師と空気男と美少年』  西尾維新

ぺてん師と空気男と美少年 (講談社タイガ)



講談社タイガから刊行されている西尾維新さんの「美少年」シリーズ第2弾。




前作(『美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星』 - ゆうべによんだ。)の刊行は2ヶ月前という、かなりのハイペースで私の財布と積読本の山を脅かすこのシリーズ。
書店で手に取って、どきどきしながら、まず最初に後ろからページを開いて次作以降の刊行予定を確認してしまいました(笑)
あとがきにて、そう遠くないうちに3冊目の出版を目論んでいる、と書かれていたので、こわい。






今回は、美少年探偵団の敵、という形で「ぺてん師」が登場するお話でした。

前回めでたく(?)美少年探偵団の仲間入りを果たした眉美は、サラリーマン風の男性が落とした100万円のを本人に届けたお礼として1割の10万円をもらう。
そんな10万円が、とんでもないコストをかけて造られた偽札であると見抜いた美少年探偵団一同は、ライバル校の中学校の体育館にて秘密裏に行われているカジノに突入することになる。

……ほんの「さわり」を書いたつもりなのですが、今作を読んでいない人たちにとって、訳のわからない展開になっているということは想像に難くない。


100万円を束でぽろっと落とすこと自体あり得ないし、お礼にその1割を、となるあたり既に普通ではない。
……もちろん、登場人物からして普通ではないことは、前作で分かっていたことではあるけれど。

そんな彼彼女らが中学生だと言うのだから、今時の中学生はこわい。






ライバル、という立ち位置でひとりの少年が美少年探偵団の前に立ちはだかることになるのですが、彼の「得意なこと」はお金を稼ぐこと、そしてぺてんにかけること。
ぺてんにかけることが得意であるが故に、お金を稼ぐことなど瑣末ごと、と言った方が正しいのかもしれません。
中学生のくせに、非合法カジノ運営するなんて。
中学生のくせに、そんなカジノ運営の裏でとんでもないことをしていたなんて。
世の中のすべては、中学生たちによって動いていると言っても、多分、誰にも咎められないくらい。



そんなぺてんに対抗するため、様々なバラエティーに富んだ美少年探偵団の面々ですが、今回は眉美の瞳が主に活躍します。
カジノ、イカサマ、と来たら彼女の目の良さが何より役に立つことは、一目瞭然。
とんでもイカサマには、とんでも視力。

個人的には、前作でちょっぴり沈んでいた眉美が元気に美少年探偵団に馴染んでいるのが見られて嬉しかったり。
多分、それは、良いこと。多分。
キャラクター同士のやり取りで言えば、美脚のヒョータが美声のナガヒロをロリコンをネタにいじり倒すのがとてもすき。




最終的にはもちろん探偵団が勝利し、事無きを得るのですが、お話の結び方が、まだまだこの物語は序章という雰囲気ありありで。
いつになるかはわからないけれど、この後に控える大きな何かのために、とりあえずライバル登場させてみました、みたいな。

ぺてん師である札槻が、最後に眉美に残したことばが今後どのように意味を持ってくるのか、どきどきしてしまう。