ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『天久鷹央の推理カルテⅢ 密室のパラノイア』

『天久鷹央の推理カルテⅢ 密室のパラノイア』  知念実希人

天久鷹央の推理カルテIII: 密室のパラノイア (新潮文庫nex)

※ネタバレには気をつけていますが、登場人物名等、既刊の内容前提で感想を書いています。



天久鷹央の推理カルテシリーズ3作目。

私の中ではすっかりお馴染みのこのシリーズ。

この医療ミステリって扱われる症例が耳馴染みのあるものが多い印象で、すごくとっつきやすいです。

今回は短編2篇に少し長めの中編1篇でした。プロローグ早々、小鳥先生の異動を仄めかすような内容でどこか不穏な雰囲気で始まります。


まず始めは呪いの動画にまつわる話。

呪いの動画を見た人は命を落としてしまう、という、ありがちと言えばありがちな都市伝説めいた話なんですが、今回の被害者はその逸話の通り動画を見た直後にふらふらと飛び出し怪我をしてしまう。

この話は、原因となる症例を普通に聞いたことあって、昔の同級生にも似たような症状の子がいたので、とても馴染みやすかったです。

それから、呪いの動画、ではないですがチェーンメールみたいなもの、流行ったなあ、としみじみ思いました(笑)

ああいうチェーンメールみたいな恐怖心煽るのって、いつ時も存在するものなんですかね、Twitterでもちょっとした画像貼り付けたもの何度か見かけたことあります。

昔から、誰がいちばん最初に流し始めるのかすごい気になってるのですが……気になりません?





そして次は、男性アレルギーのお話。

心理的に男性が苦手、というだけでなく、男性に触れると湿疹が出てしまう、というお話でした。

小鳥先生が触れたところなんの症状も出なかった場面で、あっさり男らしくないからと言い切られてしまう扱いには、なんとも残念なポジション……と思ってしまいました(笑)

今回の話に限ったことではないですが、人の苦手なもの、その程度、起因するものって本人以外の誰にも分からないので他人の声にはちゃんと耳を傾けてあげたいな、と思います。

なんていうか、あんまりざっくりと私の判断で割り切ってしまいたくないな、と。




そして最後の中編。

これがプロローグで語られた小鳥先生の異動と大きく関わる話になるのですが、訳あって小鳥先生の先輩にあたる医師の容疑を解かなければ小鳥先生がその医師の代わりに異動しなければならないという。

話の中心となる事件は、密室の中、男性の溺死体がぽつんと倒れていたというもの。

今回は珍しく鷹央先生が長時間頭を悩ませてしまう程の難事件でした。

個人的には、こう、事件を解決しなければならない制限時間が近づけば近づく程、鷹央と小鳥先生が互いにどんな風に思っているのかがちらほら垣間見えて、鴻ノ池舞的第三者としてふーん、なるほどなるほど、と思いながら読んでました。

事件の方も、読みながらなんとなく勘で犯人は目星をつけていたものの、肝心のトリック、原因が分からなかったので、最後はなるほどね、となりました。

ぼんやりと名探偵コナンの映画『14番目の標的』の最後みたいなやつかな?(うろ覚え)  と思っていたんですが全然違いました(笑)



絶賛、続刊準備中みたいなので、次も楽しみ。

(ぜっさん、ぞっかん、じゅんびちゅう、の語感の良さたるや。)



前作、天久鷹央の推理カルテⅡの感想はこちら。

病室にあらわれる天使 - ゆうべによんだ。