『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 3』 大森藤ノ
「ダンまち」シリーズ3作目!
今回はベルくんの急成長回です。
プロローグから色ボケエンジン全開のフレイヤ様は、ベルくんの成長の妨げになっているミノタウロスへのトラウマに目をつけ、ここぞとばかりに特別なミノタウロスを差し向けることに。
本当に獅子の子落とし。
でも手加減なしで死んでも飼い殺しにしてあげる、っていう発想がぶっ飛んでますよね。
フレイヤ様が特別なミノタウロスをこしらえる一方で、ベルくんはアイズさんと秘密の特訓。
といっても、ベルくんが動きについてこられるまでひたすらにヴァレン何某さんのサンドバック状態で、作中でも何度気を失ったことか。
スキルのおかげでなんとか成長速度で追いついていっているものの、常人なら本当に心折れるレベルですよね。
そういえば、小学生のころドッヂボールの特訓と称し、後ろ向きの相手にボールを避けられるようになるまで投げ続ける、という友人がいたことをふと思い出します。
当時は投げる方も投げられる方もいたって真面目だったのだけれど、それこそ本当に超人的な何か発揮しないと見えないボールを避けるなんて無理な話ですよね(笑)
ちなみに私は、いつも隅っこでひたすらに逃げ惑う派でした。
そうして大してボールもキャッチできないのに、何故か最後の1人になってしまうという。
そんな特訓のおかげでベルくんのステータスがインフレもいいところに敏捷なんか、限界突破してしまう。
数値でいうと999オーバーの4ケタ突入。
こういうところは、なんだかんだ言って主人公なんだなー、と。
それから以前までの話の中でなんとなく雰囲気は漂わせていたのだけれど、アイズさんの天然っぷりがついに頭角を現す。
昼寝の特訓と言い、すぐに眠りこけてしまうアイズさんとそれに困惑するベルくんのイラストが途中にあるのですが、その眠る顔のなんとも無邪気たるや。
ふと、思ったのだけれど、アイズさんはベルくんのどこに惹かれたのかな。
多分、ベルくんの成長速度にとても目を見張るものがあって、つい気にかけてしまう、という状態かなと考えると他のヒロインみたいにそのまなざしに熱っぽいものはまだなさそう。
もちろんミノタウロスとの戦いやベルくんの成長具合やヘスティア様とのやり取りを見るのも好きなんですが、なんだかんだ言って「豊穣の女主人」のお店の人たちのやり取りも結構好きだったりします。
ダンジョンとかファミリアとかギルドとかそういった現実的な話とは切り離されている感じが。
なんといってもお店の人たちが明るくてパワフルでそして積極的なので、これどうなってしまうんだろうというハラハラ感というよりは、なんとなく安心できる。
それに大勢の人とご飯を食べるって、どんな小説で描かれていてもすごくあたたかいし、小説でなくとも実際に生きていくうえでも1人でこもっていると、何を食べても味気ないですよね。
こういう小説の主人公ってなんだかんだ死なないよね、という意識が念頭にあるけれど、実際はいつ帰らぬ人になってしまうかわからないのだし、当たり前のような毎日をしっかり踏みしめて生きているのかなって思うと、息抜き、ともいえる酒場のシーンはこれからも読んでいくうえでちょっぴり楽しみ。
【「ダンまち」シリーズの感想はこちら。】
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 3』- 今よんでいる記事