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ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『セルフ・クラフト・ワールド 1』

感想 ハヤカワ文庫JA

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『セルフ・クラフト・ワールド 1』 芝村裕吏

セルフ・クラフト・ワールド 1 (ハヤカワ文庫JA)

 

toi8さんのイラストが好きすぎてというのと、オンラインRPGMMORPG)を扱った作品ということでとっつきやすそうだという理由で。

オンラインゲーム世界では、人工生命が存在しており現実世界よりも時間の進みの早いゲーム内では現実を追い越す勢いで独自の進化を遂げていた。

この、生命がめきめき進化しているという設定が本当にツボ。

よく考えてみれば、生命の進化の過程とか訳の分からない姿かたち、生態とかそういう話めちゃくちゃ好きでした、私。

実際の生き物から着想を得て技術化されたものがごまんとあるように、この人工生命のデータは国家の情報資産として扱われており、このデータがハッカー集団により脅かされることになる。

 

 

 

まず、ゲームに関する、思わず「あるある」と思ってしまったこと。

主な今回の物語の語りとなるのは、ゲーム内の辺境の村に住み熊本弁を話す女性のNPC、エリス。

田舎とか辺境に住む設定のキャラクターがキャラ付けのためか癖のある訛りで話すの、確かに色んなので見たことある......。

そしてそんなエリスから見たプレイヤーの行動がNPC以上に人間っぽくないって言われていて思わずふふっとなりました。思えばゲームによっては延々と同じことを繰り返してお金だったり経験値だったりを稼ぐこともあるんですが、この作業、確かに生き物っぽくない。それに対してAIで判断するNPCの方がよっぽど生産的で理にかなってる動きをする......改めて言われるとシュール。

 

 

 

ブコメ要素もしっかりと盛り込まれていて、このヒロインのエリスがとにかくめんどくさかわいい。

砂漠にてエリスの命を救ったことから、GENZという名のプレイヤーと恋愛フラグが立ってしまう。このGENZは生態研究を専門にしており、現実世界では年齢もあり第一線は退いたが今回もゲーム内の生物の観察をしにきたという。

いわゆる生き物オタクに怪訝な表情をしつつも、恋愛フラグが立ってしまった以上どんどん惹かれていってしまうエリス。GENZもエリスにまったく興味がないと言いつつも、終盤にはすっかりラブラブになるこのふたり。恋愛フラグ至上主義。

エリスがGENZの言動に取り乱すと、熊本弁生成エンジンがダウンして緊急用標準語生成エンジンに切り替わる場面を見てこれが新時代の「萌え」かと、きっとその時の私は遠い目をしていたはず。作中エリスはツンデレ属性とGENZに言われるが、GENZもGENZでなかなかに鈍いし、生物のことしか眼中になさすぎる。

それでも、5段階ある恋愛フラグのうち4段階目まで順調に打ち立てるふたり。

その頃にはこっちが読んでいて恥ずかしくなるくらい距離も近くなるのですが、いつまで立っても最後のフラグが立たないのはGENZの気持ちが足りないからだと詰め寄るエリスちゃん、本当にめんどくさかわいい。加えて現実でもありがちな光景がすべてゲーム内の価値や言葉で語られているところがいい具合に可笑しくて。

 

 

 

そして、作中内にたくさん登場する奇妙な生き物たち。

その見た目から「チクワ」と称される生き物や、体内で燃焼反応を起こし一生のほとんどを空気を取り込み続けながら飛ぶアローバードなどなど。

そういう生き物の細かい設定が語られているのを読むたびに本当にわくわくする。ちゃんと体のつくりだったり進化の派生だったり、設定がしっかりしていて、そういう謎めいた生き物の生態に好奇心がフル回転。

「チクワ」の仲間の、砂漠に住むサンドチクワがハッカーたちの策略により暴走して村をひとつ壊滅する場面で、思わず、これジブリの『風の谷のナウシカ』で見たやつだ!! 「怒りで我を忘れてるんだわ」ってやつ!! と思ってしまった。おまけにサンドチクワは脱皮をするというものだから、頭の中のイメージはすっかり王蟲に......。チクワはどこへいった。 

 

 

 

 

折しも、芝村裕吏さんの作品でちょうど先月あたりに読んだばかりの『この空のまもり』と関連する部分もあって大満足でした。

shiyunn.hatenablog.com

 

 

 

 

今はとにかく、不思議な生物の進化について書かれた本を探しに新書の並んだ棚の間を歩き回りたい気分。

 

 

 

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