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ゆうべによんだ。

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『虚構推理』

感想 講談社文庫 城平京

『虚構推理』 城平京

虚構推理 (講談社文庫)

 

 

私にとって、『雨の日も神様と相撲を』に次いで2作品目の城平京作品。

shiyunn.hatenablog.com

 

 

『虚構推理』はコミカライズもされていて、新刊が出る度に書店に並ぶのを見かけていたので小説を読んでみようと思い立って。

怪異や妖怪が関わるお話というのも、心惹かれた理由のひとつ。

コミカライズ版を試し読みしたことがあり、その時は幻想的な要素が多い作品なのかな、と思ったのですが、想像以上に緻密な作品でした。

この世ならざるものたちが跳梁跋扈する世界ながらも、その対処は泥臭く理詰めで。

 ちなみに、怪異や妖怪の類の存在は信じていませんが、信じていたいとは思っています。

 

 

 

 

※物語の核心には触れていませんが、設定や事件の経緯について言及しているので未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

怪異たちを従える隻脚隻眼の少女岩永琴子と、怪異の肉を食べさせられ不死と未来予測の能力を得た桜川九郎。

アイドルの格好で夜な夜な鉄鋼を振るう鋼人七瀬の存在が都市伝説としてまことしやかに語られる町で2人は、その噂の真相と対峙する。

文庫裏表紙のあらすじにて「人の想像力が生んだ恐るべき妖怪」と書かれているように、インターネットの大衆性の影響により力を増し続ける鋼人七瀬を消滅させようと琴子たちは手を尽くす。

 

人の噂が集まって怪異そのものに姿かたちや力を与え、やがて噂が真実になるという設定は色んな作品でも見かけますが、その逆のことを行って――噂を地に足の着いた真実味のある別なものに変えて、怪異に対抗する、という作品は初めて読みました。

それも、新たに打ち立てる噂は「もっともらしさ」さえあれば真実でなくても構わないという。

このもっともらしい噂をいかにして打ち立てるのか、という部分が本当に細かく書かれていて、手をかえ品をかえながらネット上の大勢に向かって七瀬にまつわる噂のオカルト的な要素をゆっくりゆっくりと削ぎ落していく感じが迂遠ながらもちゃんと計算されていて思わず嘆息。

ネットで噂を閲覧する人たちも一枚岩ではないので、ひとつだけではなくていくつも最もらしい切り口を用意していく。

それらもちゃんと肉付けをすれば落ちとしてはそこそこなものになるのですが、そのすべてが最後の一手のための前座に過ぎないというのが細かくて、読んでいていい意味で頭に疲労感が残りました。

久しぶりに感じるこの手の疲労感。

どちらも貶すわけではないけれど、ミステリ作品の解決や真実はどちらかと言えばロマンのあるものの方がとっつきやすくて好き、というのもあるかもしれない。

......こんなこと言ったらミステリ好きの人に怒られそう。

例えば北山猛邦さんの『少年検閲官』とかトリックに関して「あまり現実的でない」「実現が難しい」という感想をちらほら見かけたことがあるのですが、私はあの感じもたまらなく好きです。

 

 

それから、これは『雨の日も神様と相撲を』を読んだ時も感じたことなのですが、城平京さんの作品に登場する人たちが良くも悪くも空気を読まずにさらりとえぐいことを言ってのけるの、本当に好き。すっかりそのシュールさに取りつかれてしまっているので。

 

 

また、物語の締めくくりが本当におしゃれ。

ちょっとした古典作品になぞらえて落ちをつけるの、本当によい。

そしてそこまで考えて登場人物の名前をつけていたのだと思うと、頭が下がる。

 

 

虚構推理(1) (月刊少年マガジンコミックス)

虚構推理(1) (月刊少年マガジンコミックス)

 

 

少年検閲官 (創元推理文庫)

少年検閲官 (創元推理文庫)

 

 

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