『校閲ガール』 宮木あや子
ドラマ放送の少し前に文庫化した『校閲ガール』。
もちろんドラマ化で話題になる前から知っていたのですが、文庫待ちしていた作品のひとつです。
『書店ガール』に始まり、この出版業界ガールズのお話、とても気になっているのです。
私が今ぱっと浮かぶ作品だけでも、
書店ガール、校閲ガール、翻訳ガール、編集ガール、ミリオンセラーガール……
という作品が既に刊行されていて、ちょっとしたお祭りみたいな気分。
私が知らないだけでまだまだあるかもしれないです、取次ガール、とか。
宮木あや子さんに関しては、書店に足を運んだ際に面陳されているのを見かけた、『官能と少女』が気になっています……。
ファッション誌の愛読者であったが故に編集者に憧れた悦子。
編集者になることを夢みて出版社に就職したものの、配属されたのは校閲部。
編集者とは違い、実際に作家と顔をあわせることはない校閲部で働く人たち。
しかし、悦子の勝気な性格もあってか自ら同僚や編集者や作家を巻き込んでゆく。
随分ばっさりと物事を切り捨てる悦子なのですが、校閲の仕事柄難しい言い回しや古めかしい言い回しに触れる機会が多く、口からついて出る言葉が難解になってしまうこともしばしば。
こういうちょっと変わった言葉の繋がりとか言い回しが出てくると、すぐ実際に言いたくなってしまう私。
いつか言いたい。
とはいえ、結構悦子はキツいこと言うので冗談めかして言わないと大変なことになりそう。
また、作中作という形で雰囲気の違う短い文章がいくつか登場して、悦子の視点から実際に手直しされてゆくので、校閲の仕事のきめ細かさに改めて驚かされます。
あんまり直すとこなさそう、と思っていたら思っていた以上に誤用や齟齬を起こしかねない表現が含まれていて、私がいかに流し読みしているかまざまざと見せ付けられました……。
作中でも触れられているのですが、校閲をする際に内容を読んではいけないようで。
確かに内容理解するだけなら、ほら、多少の誤字は遜色ないですし、ほら、私の注意力が足りないわけじゃなくて、ほら。
誤字ならまだしも表現の正しさ、鋭利さを突き詰めようとしたら終わりがなさそうです。
文学嫌いな悦子にはある意味向いている仕事なのかもしれないです。
確かに、私の場合、どんな作家さんの文章でも「読んで」しまいそう……。
悦子含め、登場人物皆、割り切ったキャラクター、性格をしているのでさっくりと読むことができました。
映像化されて動いている姿が本当に目に浮かぶよう。
なんだかんだ言って、(キャラクターとしては)編集者の米岡さん、すきです。
キャラクターとして。