ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない』

青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない』  鴨志田一

青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない (電撃文庫)

 

※今までのお話含め内容に触れています。ネタバレを避けたい方はご注意ください。

 

 

 

シリーズ3作目。

 

表紙のイラストにもなっているロジカルウィッチこと、双葉理央をめぐる物語。

 

双葉が叶わない恋心を抱いている以上、これはたまらなく切ない結末になる!  と覚悟していたのですが前向きな終わり方をしていて、ほっとひと安心。

 

 今回は、双葉がふたりに分かれてしまうのですが、どちらが本物でどちらが偽物ということではなく。

ブレイブ・ストーリー』の最後の場面や『ペルソナ4』を思い出してしまいました。

そのうちのひとりを家に匿う咲太は、学校に通い続ける双葉と、家にいる双葉、ふたりと会話を交わしながら、分かれてしまった原因や元に戻る方法を探る。

 

 

 

私の中では、1巻2巻で登場する双葉の様子から何事も理詰めで考えて、気丈な性格の子だと思っていたのですが、今回は年相応の寂しがりな部分が垣間見える。

バカだと思いつつも止められない、ネットに際どい自撮りを上げるという自傷に似た行為を続けてしまう。

 

双葉理央はふたりも要らないし、私が消えてしまえばいいんだ、なんて言う、家にいる方の双葉を前にして、咲太はとてもいいやつである。

 

 

今回は、特に咲太や国見の人の良さが十分に溢れるお話でした。

深夜に、双葉に関する緊急の用が、と電話受けて、自転車を走らせた国見は、もはや敬意を払いたくなる。

また、その国見の気遣いが双葉の恋心を拗らせる方向に向かわないのが一層国見らしい。

 

 

 

それから、双葉みたいな「私なんて取るに足らない」のようなことを口から吐きながら、本当は寂しくてたまらないという登場人物が、とてもすき。

 もちろん小説では、そういった寂しさに寄り添う誰かがいるものだし、その瞬間の少女たちの安堵する表情が目に見えるくらいあたたかい結末になるのがほとんどだから、というのもあるのですが。

何より、ちょっぴり卑屈に語られる自己評価の温度の低さがなんというか、肌に合うのです。

咲太や国見みたいに、とびっきりの何かで笑顔にしてあげることは出来ないけれど、

そんな双葉の嫌いな双葉を、少しずつ肯定して、最後には何かがプラスになればいいね、と言いたくなる。

 

今回の双葉みたいなヒロインが好きな人は、多分『午前零時のサンドリヨン』に登場するヒロインも気にいるはずです。

 

 

 

 

そしてもうひとりの気になる登場人物、牧之原翔子ですが、中学生の姿の翔子曰く心臓が弱い、ということは、どういう事なのでしょう。

咲太の日常そのもの全てが、いつか若くして死んでしまう翔子の思春期症候群なのかも、と突拍子もないことを考えてしまう。

 

 

そして、最後に登場した真衣先輩の妹?  は今後どのように咲太の日常に関わってくのかしら。

 

次巻のタイトルに「シスコンアイドル」とあるのは、きっとこの最後に登場した少女のことのはず。

 

 

続きも読まねば、

ライトノベルって、ライトとは名ばかりで、あんまり気楽に読んでるとぐさっとやられる作品が何気に多いのが罪深いと思うのです。