ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『白蝶記』

『白蝶記』 るーすぼーい

白蝶記 ―どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか― (ダッシュエックス文庫)

 

完全に作者買い

経緯を話すと少し長くなるのですが、友人に勧められて観たアニメ『CLANNAD』にいたく感動して、いわゆるKey作品のことを色々と調べた時期がありまして。

その時に「泣ける ゲーム」のような検索をしたことがあるのですが、どんなサイトでも大体名前が挙げられているのが『車輪の国、向日葵の少女』という作品。

プレイしてみたいと思いながらも中々手が出せずに、ずっと気になっていました。

その『車輪の国、向日葵の少女』のシナリオライターである、るーすぼーいさんがライトノベルデビューということで、もう、思わず。

 

 

 

舞台は雪深い山奥の、とある教団が取り仕切る児童養護施設

そこで育った兄弟の旭と樹、そして親友の陽咲を中心に物語は進んでいきます。

教団の意向によりとても閉鎖的な空間で生活をしており、施設内で何が起ころうとも外へ飛び出して何かを訴えることはかなわない。

指導職員の小倉に目をつけられた旭たち兄弟は、度重なる暴力や懲罰小屋への監禁に耐え兼ねて、小倉に対する復讐を決意する。

 

 

まず作中の雰囲気がとても息苦しくて一気に読み進めてしまいました。

旭が子供なりに頭を使って、小倉に対する復讐をあれこれ画策し、成し遂げようとするのですが、「最後にはすべて教団側の人にばれてひどい仕打ちが待っているのではないか」と気が気ではなかったです。

旭の身の回りに起こるすべてのことが教団側の仕組んだ罠で、実は何もかもお見通しではないのかとはらはらしてしまう。

 

また小倉の件とは別件で、旭の母親だという人物から秘密裏に教団の手の届くところから逃げ出すという提案を受けるのですがそれさえも疑ってしまう私。

 確かに小倉という人物からの暴力は救いようがないほどに陰湿に描かれており、当然の報いだと思いながらも、それを上回るほどに、旭に対して「もう止めておこうよ」と言いたくなってしまう。

 

物語の途中で、教団内で高い地位にいる時任という名の少女が登場するのですが、彼女の本意が読めなくて、私のページをめくる手がより一層早くなってしまいました。

時々旭を思いやるような言動もあるのですが、彼女の発する言葉がどの感情からくるものなのかまったく見えないのです。

それが甘言なのか、教団の信念に基づくものなのか、彼女個人の思いによるものなのか。

 

 

そんなおどろおどろしい雰囲気を抜け出したくて、人心地つきたくて、急かされるように最後まで読み終えて初めて、私はこの物語を読むうえで一点、騙されていたことに気が付きました。

帯にある「ラスト10ページ、衝撃は最後にやってくる。」とは、このことだったのか、と。

 

 

 

最後には幼馴染3人がばらばらになってしまうのですが、今後の展開がとても気になります。

最後の旭にかけられた「顔を見せてよ。キミも人殺しなんでしょ?」という言葉の「キミも」という部分が特に心に残っている。