ゆうべによんだ。

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『昨日の君は、僕だけの君だった』

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『昨日の君は、僕だけの君だった』  藤石波矢

 

昨日の君は、僕だけの君だった (幻冬舎文庫)

 

講談社タイガの刊行予定の中に名前を見つけて、どんな作品を書くのか気になったので手に取ってみました。
今回の装丁イラストが『君の膵臓をたべたい』等のイラストも担当されているloundrawさんという点も手に取った理由のひとつです。
 
 
 
ひとりの大学生、樫井佐奈の彼氏“たち”と友人の物語。
佐奈はお互いに認知の上、日替わりで3人の彼氏と付き合うことになる。
そんな風に、少女漫画にあってもおかしくなさそうな設定で物語は始まるのですが、ラブコメの入る余地はほとんどなく4人の関係は表面上は順調に見えてどんどんひずんでしまう。
きっと佐奈の態度が受け入れられない人もいるかもしれない……と読みながら思うほど、佐奈は彼女のことば通り3人の彼氏に分け隔てなく「好き」という感情を口にする。
 
 
 
佐奈も3人の彼氏も関係に納得しながらも、それぞれの関係を通して「好き」の感情の向こう側、もしくは「好き」の感情の根底にあるものを不器用に見出していく。
見出していく、というより、「好き」が剥がれて決して綺麗ではない部分が顔を出す。
決して晴れやかな結末は待っていないだろう、と分かっているものの、まるで治りかけのかさぶたをつい触ってしまうような、じくじくとした気分で読み進めていました。
 
 
 
登場人物全員がはっきりと傷付く、といかないまでも、何かもやもやとしたものを抱えていて。
次第にそのもやもやの原因を突き止めるものの、関係に、「好き」という響きに甘えきってしまった現在から、足を踏み出すのはとてつもなく大変なことで。
きっと自分のもやもやを解決しようとすれば、少なからず誰かが傷付くことになるとは分かっていて、つい、誰かが動き出すのをじりじりと待ってしまう。
その「もやもや」や、「じりじり」から目を反らすように、「好き」という言葉を口にして足りない部分を埋めようとする人たちを痛々しく思いながらも、私自身とにかく結末が欲しくて一気に読み終えてしまいました。
 
 
きっと結末を読み終えた上で、未だにもやもやと感じてしまう人、どこかすっきりとした気分になる人、どちらもいるかもしれません。
私は、自分の中にある、幾多の「好き」の表面を自虐的に剥がしてしまいたくなる。
「好き」というぬるま湯に深く浸かっていればいるほど、きっとそれはすごく痛い、はず。
それを成長のために愛着のあるものを捨てるときの痛みだと割り切ることができたなら、と、物語の登場人物たちの結末
の少し先に想いを馳せてしまう。
 
 
また佐奈の友人の目線から語られるお話があるのですが、そのお話を読みながらチャットモンチーの「染まるよ」という曲を思い出しました。
 
 
兼ねてから「染まるよ」が凄い好きで、小説を読みながらこんなにも自然にも曲のことを思い浮かべたのは初めてだったので、ちょっぴり心が跳ねました。
“貴方がくれた言葉は正しくて色褪せないけれど、もういらない”というような意味の歌詞がたまらなくすき。
正しくて、色褪せない、と分かっているのに、正論はいらない。
 
このお話に登場人物する友人もきっと、正論なんかではなく、欲しい言葉があったのだと思うとやるせない……。
 
 
……というようなことを、きゅっと、まとめてTwitterにて呟いたら、著者である藤石さんから嬉しい言葉。

 
講談社タイガから刊行される藤石さんの作品もとても楽しみです。
 

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