ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『雨の日も神様と相撲を』

『雨の日も神様と相撲を』  城平京

雨の日も神様と相撲を (講談社タイガ)


絶園のテンペスト』の原作や『虚構推理』等で名前は見かけたことのあった城平京さんですが、今回始めて作品を読みました。


まずひとこと。
これ、すっごく、面白かったです。
何回声に出して笑ったかわからないくらい……。
作品の雰囲気、決して明るいコミカルな雰囲気ではないはずなのですが、私、シュールな笑いに弱いのかもしれません……。
決して笑いどころではないはずなのに物語が始まって5ページ、ページ数にして12ページの場面でいきなり笑ってしまいました……。



両親から力士になるべく相撲の英才教育
を受けてきた主人公の文季。
ただ、文季は人一倍身体が小さく、両親の熱意や教育がなかなか結果には表れなかった。
そんな中、ひょんなことからまつりごととして、相撲が取り入れられ、カエルが神様として崇められている田舎の村へ引っ越すことになる。
相撲から縁を切るつもりだった文季だが、むしろ引っ越してからの方が相撲に囲まれた生活を送ることになってしまう。
小柄ながらも相撲に対する洞察力が認められ、他の村人には秘密裏に、カエル様の言葉が分かり村を治める一族の娘である真夏を介してカエルに相撲を教えることになる。

そんな不思議な設定ながら、村の近くで起こった死体遺棄事件を解決したり、文季が村の人々に受け入れられたりと、カエル様とは別のところで現実の時間もしっかりと流れていく。

カエル様というファンタジー要素あり、ちょっとした推理要素あり、文季くんの活躍ありと贅沢すぎるくらいでした。




まあ、とにかく。
それは、ともかく。
カエル様(カエルではなくカエル様)が喋ることは良しとして。
そんなカエル様が相撲を取ることも、まあ、良しとして。
そんな局面に出会った文季の反応がとてもドライで笑ってしまう。


多分、一節を抜き出したところで私が感じた面白さが伝わらないと思うのですが、どこか冷めた文季のぽつりとした言葉がたまらなくツボで。

私の「面白い」の感覚がどれだけの人と共有できるかわからないですが、こんなに笑った小説、笑ってしまった小説、何年振りというくらいに久しぶりです。
今パラパラと読み返しても、面白さは説明できないのですが、げらげら笑ってしまう……。

これだから両生類は当てにならない。
というカエル様たちに対するセリフがあるのですが、たまらなくすき。
人生で一度は言いたい言葉メモに書き残しておきたいくらい。





そんな突飛な物語も、真夏の一族の顛末に関するシリアスな事実を知った時は、ぞくり、としてしまいましたが、終わりはこれまたそんな全てを飛び越える終わり方で。

続き読みたい。
別に笑えなくても、お話そのものだけでもすごく面白かったので、早く読みたい。

1日でも早く読めるなら、道すがらのカエル様に黙祷を捧げるのもやぶさかではないくらい。




(文庫落ちした『虚構推理』読まなくちゃ……)