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ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『少年検閲官』

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『少年検閲官』  北山猛邦

少年検閲官 (創元推理文庫)



12月になり、様々な媒体で年間小説ランキングが発表されましたね。
いくつかのミステリランキングにランクインした、北山猛邦さんの『オルゴーリェンヌ』のシリーズ前作がこちらの『少年検閲官』ということで。


溺れるくらいすきな片山若子さんがイラストを担当されている、ということで、以前から目を離せない存在だったのですが、この際オルゴーリェンヌとまとめて買ってしまえ!  ということで勢いに任せて手にしてしまいました。


北山猛邦さんの作品は、以前に『私たちが星座を盗んだ理由』というミステリ短編集を読んだことがあるのですが、タイトルの響きと同じく片山若子さんのイラストにびびっと来て衝動的に手に取った記憶があります。
どきり、とするような終わり方をする物語が詰められていて、いちばん最初の『恋煩い』や、表題作の星座の話が今でも印象に残っています。




今回久しぶりにひたっとした落ち着いた雰囲気のミステリを読んだのですが、世界観がどこかメルヘンで、設定だけでもとてもどきどきしました。

そこは、書物が駆逐されゆく世界。
ミステリはおろか書籍という形で何かを残すことは一切許されていない。
人々はラジオから政府が管理する情報のみを得て、暮らしている。

そんな世界の中の小さな町にて、首なしの屍体が次々に目撃される。
だが、そこに暮らす住人は『ミステリ』というものを知らず、『犯罪』というものに対する意識がまったくないので、どこか不気味に思いながらも、自然死として扱う。
というより、自然死と扱う以外の術を知らない。

まず、情報を管理された住人たちが『不審死』そのものを扱いかねる感じがとても新鮮でした。
また書籍のない世界というのが想像できなくて、人が死ぬようなミステリではありますがどこかファンタジーを読むような気分で読み進めていました。


そして何よりわくわくしたのが、『ガジェット』の存在。
作家たちが、書籍が消えゆく世界でなんとか『ミステリ』を残そうと生み出したもの。
宝石のようなものに直接読み取り可能な形でデータが書き込まれていて、ペンダントなどにさりげなく用いられている。
ミステリには様々な状況手法トリックが存在するのと同様に『ガジェット』には『密室』『山荘』等々様々なエッセンスが詰め込まれていて、ミステリが存在しない世界においては、犯罪の礎になりかねない。
無論、書籍と同じく検閲の対象になっている。


この、ガジェット!
めちゃくちゃロマン感じませんか?
なんか、子供心にすごくわくわくします。
グッズ化されたら買っちゃいそうなくらい。
ガチャガチャ回したい。
なんだよー、欲しかったのは『水死体』のガジェットなのに、『毒殺』かよー、って言いたい。
ガジェットということをひた隠しにしてどや顔でアクセサリーとして身につけたい。


……なんか、ミステリとしてはものすごく失礼な楽しみ方をしているような気がしますが。


もちろん、最後には鮮やかに事件は解決するのですが、殺人動機に思わず、なるほど。
そして、何より主人公クリスの旅を続ける理由が最後に明かされるのですが、その理由がとてもよい。

ネタバレ、というか。
多分、察しの良い、というかほとんどの方が、クリスが父親の形見として身につけていたチョーカーがガジェットであることに薄々気がつくと思いますが、

果たしてそれが、何のガジェットなのか、それが明かされる場面が私の中でとてもお気に入りなのです。




(……調べてみたら、同じ片山若子さんのイラストでも、単行本と文庫本では表紙イラストが違っていて、単行本ではよりはっきり主人公の少年と検閲官の表情が見て取れるので、勢いで買ってしまいそう……どうしよう。どうしよう。片山若子さんの描く少年少女がたまらなくすきなのです。)

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)





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