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ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

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『つれづれ、北野坂探偵舎 トロンプルイユの指先』

感想 角川文庫 河野裕
『つれづれ、北野坂探偵舎 トロンプルイユの指先』  河野裕

つれづれ、北野坂探偵舎 トロンプルイユの指先<つれづれ、北野坂探偵舎> (角川文庫)


「つれづれ北野坂探偵舎」シリーズ、5作品目。
帯によれば、次でシリーズ完結、ということで、始まればいつか終わるものではあるけれど、少し寂しい。




今回はユキが幽霊の世界に迷い込むところから始まります。
次回の完結に向けての、比較的静かなお話でした。
登場人物それぞれの思惑をひた隠しにしながら、来たるべき時に向けて各々がなすべきことを遂行していく。


現実ではない、誰かのためにつくられた空間が舞台、ということで、同じく河野裕さんのサクラダリセットシリーズ、5巻のお話を思い出しました。


確か、眠り続ける少女の夢の世界へ入る話だったように思います。

サクラダリセットのお話も今回のお話も、傷つくことのないまるい世界なのだけれど、ほんのり死と停滞が漂うよう点で似ている、と感じたのかもしれません。




今回、思いがけない人たちの幽霊が何人か登場するのですが、果たして幽霊となってしまった以上、成仏するのが幸せなのか当初の未練を果たすのが幸せなのか、と少しこの先のノゾミたちの行く末が気になりました。






それから、小説は誰のものなのか、ということについて。
著者のものなのか、読者のものなのか。
想像の余地なく著者の思いが100%伝わる小説と、読み手によって印象が変わる小説。
書かれた時点で小説として完成するのか、読者の手に渡って初めて完成するのか。

より「優れた」小説を巡って勝負をすることになるのですが、私は後者の雨坂さん派です。
たぶん、ほとんどの本読みの方はそう答えると私は思っています。
何の根拠もなく身勝手な想像ですが(笑)


同じ文章を読んだ時、何を思うか、そこに余地がある方が素敵だと思うのです。
著者の意図さえ飛び越えて、自分だけのものにしていく感じ。
そこに描かれているいろんな出来事や感情を、自分の経験と照らして読んでいく感じ。
誰かの顔を思い出しながら読んだり、まだ見たことのない景色にわくわくしたり。

時々、インターネット上で小説に限らずいろんな作品の解説などを見かけることがあるのですが、きっとおいしいところだけ切り取ってしまってもいいと思っています。

あの場面の彼女はそんな思いじゃなかったよ、とか。
あの話の続きは、実は手がかりが散りばめられていて、とか。


彼女があの時泣いていたと感じたのならばきっと泣いていたのだし、
ハッピーエンドだと感じたのならば、きっとそれはハッピーエンドなのです。


そうして掬いとったものは、きっと、誰のものでもない、その人のものだと思うのです。






……だからこそ、
「おすすめの本教えて!」
と言われるとすごく困ってしまいます。

「お気に入りの本教えて!」
と言われたのならば、気兼ねせずいくらでも言えるのですが(笑)

私にとっておいしいものが、あなたにとって真においしいものであるのか、迷ってしまうのです。



だから、せめて、1冊と言わず、10冊は選ばせて……!




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