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ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『かなりや荘浪漫 廃園の鳥たち』

感想 村山早紀 集英社オレンジ文庫

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『かなりや荘浪漫 廃園の鳥たち』  村山早紀

かなりや荘浪漫 廃園の鳥たち (集英社オレンジ文庫)


『竜宮ホテル』シリーズを読んで以来、他のシリーズも読みたいと思いながらずるずると来てしまいました。
『コンビニたそがれ堂』も『カフェかもめ亭』も『花咲家』もどれも店頭で見かけたことがあり、とても気になってます。
何より私の中で『ルリユール』が文庫化されるのを待とうか否かのせめぎ合いが日夜続いて云々……。
タイトルにもなっている『ルリユール』というのは本にまつわる職業のひとつなんですが、これについてはまたいつか村山早紀さんの『ルリユール』を手にした時に思い切り触れたいと思います。




今回『かなりや荘浪漫』シリーズを読んでみようと思ったのは、これがまずクリエイターの話であるから。
小説家や漫画家が登場するお話がすきで、その登場人物の創作に対する思いにきっと作家さん本人の思いも溶け込んでいると思うのです。
お気に入りの作家さんたちがどんな思いで作品を作り上げているのか、その欠片でも触れられたような気がして、なんか嬉しく感じるのです。

河野裕さんの『つれづれ、北野坂探偵舎』シリーズに幽霊が登場したように、辻村深月さんの『スロウハイツの神様』で同じ屋根の下で暮らす人たちとともに成長していくように、この物語の主人公も天才漫画家の幽霊の暮らす古アパートでどんな素敵な物語を紡いでいくのかな、と思うと、とても読みたくなってしまって。







主人公の茜音は雪の降るクリスマスイブの日に風邪気味の中、アルバイトから帰ると小説家の母親が失踪していた。
家賃を滞納していた手前これ以上同じ住まいに住み続けるのは困難で、途方に暮れる中、公園でのひとりの少女との出会いをきっかけにかなりや荘に住まうことに。




今回は茜音がかなりや荘に住まうまで、そしてとある事情で漫画の編集者を続けられなくなってしまった美月さんのお話。

表紙裏のあらすじでも「優しく力強い回復と救済の物語」触れられていたように、とてもやわらかでした。
登場する人たちはどの人もみんなあたたかい眼差しを持っていて、他人にそういう眼差しを向けることができるのは、きっと過去に簡単にことばにすることができない何かを抱えているからで。

何の小説で読んだのかは覚えていないのですが、他人に対する優しさにはふた通りあって、
までずっと優しく接しられてきたので周りの人にそうするのが当たり前だと思っている人。
過去にひどく傷ついたことがあり、悲しさや心細さを知っているからこそ優しくすることができる人。

この物語には、後者がとても多いように感じます。
何かしらその瞳の奥に何かを憂いを抱えていそうな。



小説の中でも「運がいい」と表現されているように、茜音自身、とても綺麗な世界を生きている気がしました。
もちろん現実は困窮してばかりなのだけれど、誰のせいにするでもなく自暴自棄になるでもなく、その柔らかな雰囲気とは打って変わってしっかりと前を見据えていると思うのです。
彼女の母が急に姿を消してしまったことに関しても、ちゃんと茜音なりに事情を受け止め、理解しようとしていて、むしろ帰ってくるべき場所がちゃんとしておかなくてはと心配したりさえする。

もちろんかなりや荘の人たちがやわらかいというのもあるけれど、茜音自身、人も運も呼び寄せるような。






茜音みたいに生きていくことはきっととても難しくて、少しでも運を引き寄せられるような生き方ができたなら、とちょっと羨ましく思います。
それでもふと立ち止まって考えてみると、私も知らずのうちにいろんな人に助けられていて。


そんな人のつながりがとても心地よいお話でした。




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