……実は(という程のことでもないのかもしれませんが)、今回森博嗣作品を手に取るのは初めてなのです。
S&Mシリーズ、
Vシリーズ、
Gシリーズ、
四季シリーズ、
百年シリーズなどなど……、
どれから手を付けたらよいのかしら、
手を付けたらいろいろと取り返しのつかないことになりそう、
とあたふたしているうちに講談社タイガが創刊されることに。
今回の『彼女は一人で歩くのか?』に関しても既にWシリーズと名が付いていて、既に3作目まで刊行予定されている模様。
私の森博嗣はここから始まる!
人工細胞により作られたウォーカロンという生命体。
人間とウォーカロンの違いはほとんどなく、むしろその区別をする必要があるのか、という程に。
そんな人間とウォーカロンを識別する研究を進めていた主人公のウグイはある日その身を狙われる。
何故自分が狙われるのか、その理由が分からぬまま、政府による莫大な資金と強固なセキュリティのもとウグイは研究を進めていくことになる。
そんなウォーカロンの存在とは別に問題視されている人間の子どもが産まれなくなっているという現象。
卓越した科学技術により、新生児が誕生しなくとも生産人口維持が可能となってしまった時代。
そうでなくとも、人間より優秀とも思えるウォーカロンが存在する時代。
ウグイの進める研究が及ぼす影響とは。
私にとって、こてこてのSFを読むのってとてもカロリーを消費します。
現代日本とはまったく違う舞台で、登場人物たちにとっての常識の下、平然と動き回るので世界観を把握するのに時間がかかってしまいます。
それでも読み進めていくにつれ、気が付けばそんな「常識」にも慣れてしまっている自分がいる。
その感じがとてもたまらないです。
まったく未知だった世界がとても身近であるように感じられる瞬間。
ウォーカロンに関しても、もっとロボット的で適応力がない受け答えも一辺倒な存在だと思っていたのですが、想像以上に人間と遜色なく描かれていてびっくりしました。
人間と区別がつかないのは、見た目だけだと思ってたのです。
人間とは何か。
というより、
人間性とは何か。
そんな事をひたひたと考えながら読み進めていました。
それから作中で投げかけられるハードな問題の雰囲気とは逸れてしまうのですが、ウグイの行動や考え方がとてもお茶目で読みながら何回破顔したことか。
……私だけですか?
身体が軽くなったように感じて重力加速度測定しちゃうあたりなど特に……。
……他作品も読みたい、です。
やはり、S&Mシリーズから読み始めるのが鉄板なのでしょうか。