ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

新潮文庫nex総選挙とこっそり推したい選外作品。

先日、新潮文庫nex総選挙の結果が発表されました。

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新潮文庫nex総選挙2015 | 新潮文庫nex

全作品読んだわけでは無いですが、ほんのりレーベル追っかけしている私にとって、選外にも読んでもらいたい作品がいくつかあって、どうせなら作家ごと推して記事にしてしまえ!  ということで。

 

 

新潮文庫nex総選挙って?

 
新潮社がライトノベルではない、キャラクターノベルレーベルとして立ち上げた新潮文庫nex。
フォントや紙の質にもちょっとしたこだわりがあるようで、新潮文庫nexの紙質、なんていうか、つるひたっとしているのです。
 
 
そんな新潮文庫nex創刊一周年に際して、Twitterによる投票と実際の売り上げをもとに順位を付けたものが新潮文庫nex総選挙。
投票よりも、実際の売り上げの比重を大きくしてあるみたいです。
もしかしたら毎年行われるイベント、のようになっていくのでしょうか……。
 
 
 

新潮文庫nex総選挙結果と雑感。

10位  「謎好き乙女」シリーズ
  9位   『ブタカン!』
  8位  『僕僕先生  零』
  7位  『知らない映画のサントラを聴く』
  6位  『ここで死神から残念なお知らせです。』
  5位  『バリ3探偵 圏内ちゃん』
  4位  「革命のリベリオン」シリーズ
  3位  「天久鷹央の推理カルテ」シリーズ
  2位  「レアリア」シリーズ
  1位  『いなくなれ、群青』含む階段島シリーズ
 
 
と、蓋を開けてみると上記のような結果になっているのですが、まあ、そうなりますよね……。という感が拭いきれない結果に。
私の大好きな『いなくなれ、群青』から始まるシリーズが1位に輝いていて、とても嬉しかったのですが、否定的な意味合いはなくわくわくして蓋を開けるには、あまりにも普通な結果に思えてしまうのです。
もう少し、わお!  と思えるような番狂わせをどこかで期待してた私も……。
 
 
ランクイン作品も粗方読んだのですが、逐一思いの丈を書いているとたまらない感じになってしまうので割愛します……(笑)
 
 
ただひとつだけいいですか?
謎好き乙女の主人公くんとヒロインちゃんの掛け合いがすごくすきだし、ブタカンは一風変わりな同級生ちゃんの今後も気になるし、僕僕先生は本シリーズに手を付けようかあああってなるし、知らない映画のは主人公ちゃんは闇の深いコスプレ男子に惹かれるプロニートだし、ここで死神からは最後の最後の展開でおや?ってなるし、圏内ちゃんは読むとネットこわ……ってなるし、革命のリベリオンは展開わくわくすぎてロマンのかたまりだし、推理カルテは鷹央ちゃんに甘いもの与えたくなるし、レアリアはスケールの大きさ云々よりキャラ萌えもといキャラの関係萌え?  で悶えるし、階段島シリーズは言わずもがな……。
 
 
もうひとつだけ……。
順位付けされてはいるけれど、ジャンルや作品の雰囲気はまったくといって良いほどどれも別ものなので、書店に出向いて手に取って、運命を感じた1冊を是非!
 
 

作家ごと推したい選外作品。

ここからが本題です! 

密かにランクインを期待していた作品をいくつか挙げたいと思います。

 

控えめにこっそりおすすめするので、あの、よかったらぜひ書店で手に取ってみて欲しいです。

……あわよくば読後の感想、私にください、私が元気になります!!

 

 

『未来探偵アドのネジれた事件簿―タイムパラドクスイリ―』  森川智喜

 

 

未来探偵アドのネジれた事件簿: タイムパラドクスイリ (新潮文庫nex)

 

 

いわゆる時間SFもの。

普通の時間SFものだとパラドクスを起こしてしまわぬよう、複雑な物語になってしまうこともあるのですが、この作品が独特なのは、因果エネルギーなるものにより多少のパラドクスなら問題ないというもの。
因果エネルギーなんて仰々しい名前がついてますが、便利な何かくらいの認識で大丈夫です(笑)
 
そんなわけで未来人のアドが現代の探偵事務所にてサポート役としてはたらく話なのですが、依頼を受けるなり、便利な時間移動装置でけろりと少し先の未来のアドに結末を聞いて解決してしまう。

アドのどこか現代とはズレた会話もとてもコミカルで、いきなり未来人がすんなり登場するので雰囲気を飲み込むのに多少時間はかかるかもしれませんが、読みやすいと思います。

森川智喜さんの他の作品にも言えることですが、どこかコミカルでさくさくと読めてしまうのに、時間もの、推理ものとしてもしっかり面白いということ。

今回のこの作品では、きっと読後に小気味よさを感じることができるはずです。

 

 

 

 

そんな森川智喜さんの他の作品では、『キャットフード』と『スノーホワイト』がすきです。

……それしか読んでないともいう……。

それぞれ『注文の多い料理店』と『白雪姫』をモチーフにした推理もの。

これまた設定がユニークなのですが、『キャットフード』は猫の食用缶詰めとして人間たちがされてしまう、しまいそうになるお話。

猫が如何にして人間の新鮮な肉を手に入れるかと話し合う場面やそれをビジネスとして成立させようとする場面など、猫の黒い部分満載。

とはいえおどろおどろした殺戮ホラーのような雰囲気ではなく、猫と人間の知恵くらべのような展開、うろ覚えですが多分死者は出るけれど。

 

スノーホワイト』も相当キャラクターが濃ゆい。

そして何より探偵役の運のなさというか、扱いの酷さに同情したくなってしまう……。

それでも推理ものとしてしっかりしているので、硬派な本格的なミステリが苦手な方でもするりと読めてしまうかな、と思います。

 

他作品の文庫化心待ち。

 

 

 

 

 

キャットフード (講談社文庫)

キャットフード (講談社文庫)

 

 

 

 

 

 

 

 

スノーホワイト (講談社文庫)

スノーホワイト (講談社文庫)

 

 

 

 

 

『忘却のレーテ』  北条遥

 

 

忘却のレーテ (新潮文庫nex)

 

先ほどの『未来探偵アドのネジれた事件簿』に対し、こちらはどちらかというと、読んでいる間、頭を悩ませ、?が飛び交うタイプのお話。
最後の最後で、すっと筋が通るタイプの。
主人公の女の子は、新薬のレーテの実験に参加することになるのですが、このレーテは飲むと昨日の記憶が消えてしまうというもの。
毎日毎日、身に覚えのない朝を迎えながら、主人公のまわりの人間も入れ替わり立ち替わりしてしまい、読んでいる私も主人公と同じようにすっかり混乱してしまう。
 
最後の最後に明かされる実験の真意と物語の構造。
明かされた上でもう一度読み直せば、はっきりと何が起きていたのか理解できるはず。
……途中こんがらがりますが、諦めないで最後まで読んでみて欲しい1冊です。
 
 
 
 
そして、さらに複雑も複雑、すべてを理解しようとすると何か別の真理が見えてきそうな(褒め言葉)『リライト』から始まるReシリーズ。
時間SFもの、という扱いになると思います。
本当に複雑で、是非読んで欲しいとは思うものの、思考の淵に突き落とすことになるので、シリーズまるっとおすすめしていいのか少し躊躇ってしまいます(笑)
 
自信ある方、是非読んで!
そして私にゆっくり時間をかけて解説してください!
……『リライブ』の記事書くの放棄したままじゃなくて、ちゃんと向き合わなくちゃ……。
 
 
でも、『リライト』だけでも読んでもらいたい……。
タイムパラドクス云々すべて理解できなくとも、バッドエンド版時かけの名にふさわしいあのぞくっとする終わり方、個人的にたまらないです。
 
 

 

 

 

リライト (ハヤカワ文庫JA)

リライト (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 

 

 

『スキュラ&カリュブディス―死の口吻―』  相沢沙呼

 

 

スキュラ&カリュブディス: 死の口吻 (新潮文庫nex)

 

 
少女たちの間で流通する麻薬と続く変死。
怪異もの、というか伝記もの、というかファンタジーのような要素も入ったミステリ。
あんまりいうとネタバレになってしまうので深くは書けないのですが、少女の「しにたい」がぎゅっと凝縮されたような雰囲気がたまらない。
どこか淫靡で退廃した空気が垂れ込める街で、なんとも言えない行き場のないどうしようもない感情を「しにたい」ということばに込める感じ。
 
この街には普通の人間とは違う、別の何かが混ざり込んでいて、彼ら彼女らは人間を遥かに凌駕する力を持て余している。
それでも、「普通」になりたい少女の。
 
雰囲気に浸ってくるりくるりと読んでいて、結末の行き先を考えていなかったので、終わり方にはびっくりしました。
そういえば、これ、解決してしかるべき事件だったんだ、と(笑)
 
そんな感じで相沢沙呼さんの文章、結構すきなのです。
 
今作はどこかどろりとした雰囲気のある話でしたが、青春ミステリ好きな方は『午前零時のサンドリヨン』読んでみて欲しいです。
 
手品では人が変わったようにとびきりの笑顔を見せるものの、学校では少し不器用で寂しがりで「おくびょう」な女の子。
そんな女の子に惹かれた少年の物語。
 
 
それから『ココロ・ファインダ』。
カメラと少女たちの連作短編集。
どのお話かは覚えてないのですが、
鏡を見た時、上下はそのままなのにどうして左右は反対になるの?
という問いに対する答えと解釈がとてもすきです。
 
 
 
……余談ですが、相沢沙呼さん、Twitterではふとももせんせーと読者から呼ばれることもあるほどにふとももなので、是非作中でふともも見つけてふとももしてみてください(笑)
 
 

 

 

 

午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)

午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)

 

 

 

 

 

 

 

 

ココロ・ファインダ (光文社文庫)

ココロ・ファインダ (光文社文庫)

 

 

 

 


『シャーロック・ノート―学園裁判と密室の謎―』  円居挽

 

 

シャーロック・ノート―学園裁判と密室の謎―(新潮文庫)

 

論理でかちかち組み立てていくタイプのお話。
何より場面の設定と表紙イラストの少年のキャラクターが、とてもよい。
探偵がヒーローのように活躍する世界で、探偵養成のための学園にて主人公の少年が新入生ながらも論理で上級生たちの鼻を明かしていく。
なんともかっこよくて爽快……。
 
以前の感想を書いた記事でもちらりと言ったんですが、展開が少年漫画のようでわくわくする、私がもう少し幼ければ間違いなく主人公の真似をしていたであろうくらい。
 
本当にぺろりと読めてしまうくらい、漫画やゲームに近い意味での、私にとって読んでいて「楽しい」小説です。
 
というか記事見たらそろそろ次巻が発売されてもいい頃みたいですね……そこはかとなく期待して待ってます……。
 
 
 
それからまだ読めてはいないのですが、ちゃっかりベンチ(本棚)にて出番を待ち続けている『丸太町ルヴォワール』シリーズ。
ネットのどこかでシャーロック・ノートについて、ルヴォワールシリーズみたい、と書かれていたので非常に気になっています。
読んだらまたちゃきちゃきっと感想書きますね、
 

 

 

 

丸太町ルヴォワール (講談社文庫)

丸太町ルヴォワール (講談社文庫)

 

 

 

 

 
 
 
 
 
……というわけで。
近々講談社タイガの参入もあり、個人的に熱いキャラクター文芸レーベル界隈。
ただひたすらに本を読み続ける自分がもうひとりくらい欲しい。
 
新潮文庫nexに関しても読んでいない作品がまだまだあるのでざくざく読んでいきたいです。
 
 
そして何よりいろんな作品の名前を挙げましたが、自分の手で自分の目で運命感じて作品を手に取ってもらいたいです。
カバーデザインの感じだったり、表紙裏のあらすじだったり、冒頭の一節だったり、書店のPOPだったり。
そんな出会いの思い出も含めて、誰かにとっての素敵な本になればよいな、と思います。