ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『革命のリベリオン 第Ⅰ部 いつわりの世界』

『革命のリベリオン 第Ⅰ部 いつわりの世界』  神永学

 

革命のリベリオン: 第I部 いつわりの世界 (新潮文庫nex)

 

※ネタバレ気にせず感想を書いています。未読の方はご注意ください。
 
 
私としては「心霊探偵八雲」シリーズの印象が強い、神永学さん。
 
今まで神永学さんの作品を読んだことがなくて、この「革命のリベリオン」シリーズが新潮文庫nexから出ているということもあり、前々から気になっていました。
 
今回、続編が出るということで、シリーズがどんどん刊行されて手を出すのを躊躇ってしまうくらいに置いていかれる前に読まなくちゃ、と思い手に取ってみました。
 
そんなわけで。
神永学さんの文章の世界観に触れるのは今回が初めてだったんですが、純粋に(わくわくするという意味で)面白いですね!
今回のお話の題材が題材なだけに、余計にそう思えたのかもしれません。
 
 
 
 
 
◇DNAランクが支配する世界
日本の近未来を舞台にしたお話なのですが、DNA解析により生まれながらにして住む世界や可能性を決められてしまう格差社会
それこそ職業から住む場所、命の重さまで自然淘汰されてしまうような。
 
こういう近未来SFってわくわくしますよね。
近未来SFというと、新技術を巡るちょっぴり哲学的な作品とエンタメ寄りの作品に大別されると(勝手に私は)思っているのですが、この作品は後者だと思います。
考えさせられる、というよりは、無邪気に展開にわくわくするような。
 
こういう類の話ではもはやお決まりといってもいいのかもしれないのですが、ランク付け最低の主人公の少年が権力に立ち向かっていくような展開って分かりやすくてなんか少年漫画読むときみたいに、熱を込めて読んでしまいます。
 
おまけになんか兵器のメカとか出てきて、人型の機動兵器も登場してきた時にはロマンを感じずにはいられませんでした(笑)
こんな兵器まで登場するとは思っていなかったので、思わずこれはずるい、と思いました。
これから、主人公の少年が人型機動兵器に乗って……と想像するだけで。
 
 
 
 
◇光と絶望
それから、この作品のパワーバランスというか登場人物たちの思惑がいろんな方向に錯綜していて、これから先どうなってしまうのか非常に楽しみです。
 
作品公式サイト(神永 学 illustration by 土林 誠『革命のリベリオン』|新潮社)の人物相関図を見ていただければ、どれだけの人物が登場するのか分かると思うのですが、あの人物相関図から見て取れる以上に、腹に何か抱えていそうなキャラクターばかりで、どうやって収集つけるつもりなのか心配になってしまうくらい。
 
いわゆる持てる者であるミラと主人公のコウとの関係がこれからどうなってしまうのかがすごく気になる……。
他にも所謂子ども世代が、大人たちや周りの世界を自らの目で見てどのような選択をしていくのか本当に想像もつかなくて。
 
主人公のコウも、主人公らしく分かりやすく快進撃していく、というわけではなく、今回のお話ではむしろ絶望のどん底に突き落とされます。
その感じもすごく絶妙で。
少し光が見えてきたかな、という場面で、いきなり汚い大人たちの世界に巻き込まれ、絶望を見せられてしまう、という。
 
 
ある意味、綺麗な感情だけでは生きられないと悟ったコウの目に、世界はどのように映っていくのか、続きが非常に気になります。
 
 
そして、最後に第Ⅱ部の序章として書かれた「衝撃」というお話。
普通ならDNAランクが高くなければ入学することのできないミラたちの通う学校に、コウが転入する場面。
 
コウが本来持たざる者であったと知っているのはミラだけで、そんなミラを守りたいと世間を知らないマコトは思っていて、その横でタケルは唾棄するほどに世界を憎んでいて……。
それを他所に大人たちは世界のシステムを保とうと、保身に必死で。
 
 
どうなるか展開はまったく予想できないけれど、絶対この先面白くなりそうな空気が充満している感じ。
 
 
もう、たまらない。