ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『冴えない彼女の育てかた』

冴えない彼女の育てかた』  丸戸史明

冴えない彼女の育てかた<冴えない彼女の育てかた> (富士見ファンタジア文庫)



アニメ化したこともあって、この作品前々から気になっていました。
行きつけの大型書店があるんですが、ここしばらく1巻が在庫切れ状態で、なんだか余計に読みたくなってしまって。
1巻を見つけるまでに、そこから何軒か大きい本屋さんから小さい本屋さんまでぐるっと回ってしまいました。



主人公の安芸倫也がとある魅力的な少女との出会いに触発されて、彼女をヒロインにしたゲームを作ろうとするんですが、その彼女の実生活はあまりにも普通でキャラクターも立たなさすぎて、安芸倫也は落胆してしまう。
それでも、彼女をヒロインとしたゲームを作ることを諦めきれずに、幼馴染みで同人作家の澤村・スペンサー・英梨々や、先輩で小説家である霞ケ丘詩羽に協力を求める。

手厳しい態度の英梨々や詩羽先輩に手伝ってもらえるよう、2人が納得のいくような企画書を安芸くんが悪戦苦闘しながらヒロイン候補の加藤恵と練り上げていくコミカルな話。







本の読み方は人それぞれだと思うんですが、個人的にはクリエイターの話ってだけですごくわくわくしました。

どれも作品の雰囲気は違いますが、クリエイターの人たちのお話で言えば、辻村深月さんの『スロウハイツの神様』や時雨沢恵一さんの『男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を締められている。』シリーズもすごくすきで。

英梨々や詩羽先輩は決して少なくない額を稼いでいるプロと言っても遜色ないのに対し、あくまでと安芸くんはど素人。

作家などのクリエイターになりたいと憧れる人たちが、(一部では嘲笑や侮蔑の意を込めて)ワナビーと呼ばれていることは知っているんですが、産みの苦しみ無しにいろいろと想像するのって本当にわくわくしますよね。

多分、当たるわけないとは思いながらも宝くじ当たったらどうしよう、とか、ここからとんでもない悲劇が起こったらどうしよう、と考えるのに似ているような気がします。

安芸くんは、企画書の初校を英梨々や詩羽先輩に手酷く言われ、産みの苦しみを味わうことになるのですが、自分が何作りたいのかなとか考えるのってとても楽しいと思うんです。
ただ、現実で生業とするには締切やら何やらで楽しいばかりではないとは思いますが。

英梨々や詩羽先輩のクリエイターとしての目線での安芸くんに対してのいろんなひと言がとても新鮮で。
ちゃんとダメなところはダメ、って言ってくれる人がいるってのもすごく幸せですよね。
果たして安芸くん自身は恵れているということを分かっているのかな。






それから、加藤さん。
ヒロインとしては、安芸くんから物凄いダメ出しを食らってますが、普通にすごくいい子ですよね。
いろいろと周りに流されがちというよりかは、ちゃんと相手の意見を汲んだ上で理解した上で、相手の要求に従うような感じの子だと勝手に思ってます。

なんとなく、そこないたくないような感じの子。

そんな感じが安芸くんから言わせればヒロインとして物足りなさ過ぎるのかもしれませんが……。

作品中にもどうやらギャルゲーを元にしたパロディネタが散りばめられているようなのですが、ギャルゲーには明るくないので一部伏字のヒロイン名等々はほとんど分からなかったです。
勉強不足ですね(笑)




とりあえず加藤さんがヒロインとして、
どんな風に変化していくのかすごい楽しみ。
でも、私としては今の加藤さんらしさはそこなわないで欲しい、とも思っていたり。