ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『ドリームダスト・モンスターズ 眠り月は、ただ骨の冬』

『ドリームダスト・モンスターズ 眠り月は、ただ骨の冬』  櫛木理宇

ドリームダスト・モンスターズ 眠り月は、ただ骨の冬 (幻冬舎文庫)

※具体的な結末に触れるのは避けていますが、一部内容に触れているので未読の方はご注意ください。


「ドリームダスト・モンスターズ」シリーズ3作品目。

以前にも感想書いたことあるかと思うんですが、櫛木理宇さんの作品と言うと「ホーンテッド・キャンパス」シリーズが有名かと思います。

「ホーンテッド・キャンパス」シリーズから読み始めて、「ドリームダスト・モンスターズ」シリーズや『お城のもとの七凪町  骨董屋事件帖』を読んだのですが、「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ好きなら、多分、どれも気に入ると思います。



どの作品も、ちょっとしたおどろおどろしい不気味な話×ラブ(コメ)なので、ホラー作品が苦手でもとっつきやすいかと。



「ホーンテッド・キャンパス」シリーズは、怪異幽霊もの×焦れったい大学生でしたが、このシリーズは悪夢×凸凹高校生です!


とりあえず、前回までのあらすじをざっくり。
主人公の晶水(あきみ)は元バスケットボール部で身長175センチメートル。
悪夢に苛まれていた中、同級生の壱(チビは禁句)とその祖母である千代が営む「ゆめみや」に悪夢にまつわるいろいろを解消してもらって以来、足繁く「ゆめみや」に通うことになる。
「ゆめみや」は実際に他人がみる夢の中に入り込むことで、その人が悪夢を見ることになった原因を紐解く手助けをしている。
好き、ということをさらりと言ってしまうほどの壱の猛烈なアピールに面食らう晶水だったが、次第になんだか満更でもなさそうで。





壱は運動神経抜群なのですが、部活に所属している訳でもなく、時々試合に助っ人として参加します。
今回、バスケットボール部の助っ人として試合に参加した後、相手校にいたかつての晶水の同級生に何か耳打ちされ、それ以来、壱は晶水から距離を置くようになってしまいます。

そんな中、晶水の親友を始め、同じ高校の9人もの人が、同じ蛇の悪夢に悩まされることになる。
ブコメ要素に一抹な不安を残しながらも、悪夢について調査を進めて行く。



なんていうか、櫛木理宇さんの作品は連作短編が多いイメージなんですが、今回は長編でした。
櫛木理宇さんらしい、というか物語全体の雰囲気と比べると随分ヘビーな結末が待ち受けているんですが(ダジャレじゃ、ないです)、今回すごく丁寧に話が進んでいるように感じました。

ゆっくりゆっくりと情報開示されていく感じがすごくよかった、結末を読み終えた後で、刺青の話もマムシが出る山の話も避難訓練の話もその他諸々も全部必要な情報だったんだ、と気がつく感じ。



そして、多分、扱うテーマの割には全体がふわっとしているのは、一貫としてラブコメの空気が漂っているから。
今回、不穏な始まり方をした晶水と壱の関係ですが、最後は読んでいて思わず破顔してしまいました、なんだこれ、なんだこいつら。

晶水は、まだ「すき」ということばを持ってして自分の好意めいたものを自覚出来ていないので、「ホーンテッド・キャンパス」みたいな、もどかしじれったい雰囲気になるのかな、やめてください、お腹いっぱいです。

これなら先、この2人がどうなっていくのかな、って考えるだけでふわっとする、ふわっと。