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ゆうべによんだ。

だれかに読んだ本のことをきいてもらいたくて。

『オーダーメイド殺人クラブ』

感想 集英社文庫 辻村深月

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『オーダーメイド殺人クラブ』  辻村深月

オーダーメイド殺人クラブ (集英社文庫 つ 21-1)

※内容に触れています。ネタバレを避けたい方、未読の方はご注意ください。


今回は先日文庫化したこちら。
全部では無いですが、文庫化作品はそこそこ読んでいて、辻村深月さんの描く何処か斜に構えた学生がすごくすきです。


すき、というとあまりにもざっくりとし過ぎているけれど、まわりの人間を見下しているような若さの表現があまりにも的確で毎度毎度、息を呑んでしまう。
ここに描かれているのは、間違いなく、あの頃の、あの頃なり得たかもしれない私だと思ってしまう。



主人公は、家族も友人も教師も何もかも“センスが無い”と思いながらも、そのしがらみから抜け出せないことにジレンマを感じる女子中学生。
学生の自殺や心中の新聞記事を見つけては、どうせ命を使うのならば、誰にも忘れられ無いような、まわりの人間に後悔の爪痕をしっかり残すような死に方をすれば良いのに、もったいない、と思う。
そんな、センセーショナルな死を匂わす写真や記事を集めるのが趣味で自ら中二病と称すも、まわりの人たちに打ち明けることなく日々を過ごす。
ある日、ビニール袋に入れた小動物を残虐に殺すクラスの冴えない男子の同級生を見かけてから、似たような趣味を持っていることを知り、日常の人間関係のすべてを捨て去りたい彼女は、彼にある頼み事をする。
誰にも忘れられないように私を殺してほしい、私の死を演出してほしい、過去に前例のない、オーダーメイドの死を。




どこか垢抜けない母親や、鬱屈とした同級生との人間関係にうんざりする程、強く死に憧れるようになっていくのですが、そういう在り来たりなものにうんざりしてしまうこと、私もあったなー、と。

友人が趣味について熱っぽく語るのをすぐ横で聞きながらも、頭の中ではくだらない、と思っていたりする感じ。
クラスの人間関係に躍起になっているのを見て、しょうもないと見下す感じ。
私の考えはきっと誰にも理解できない、と気取る感じ。

今になっても、自分の中のもやっとしたものをことばに詰めて、誰かに伝われ!  と、こうしてネットの海に流してる以上、あんまり本質はあの頃と変わってないのかもしれませんが(笑)


お話が始まる前に、『これは、悲劇の記憶である。』とあります。
「悲劇」を起こせなかったことが、あなたの悲劇だ。
気づかなかったことが、あなたの、悲劇だ。
と物語の終盤で、中学生の主人公の女の子に対する言葉があるのですが、この『オーダーメイド殺人クラブ』というお話が、若さゆえの過ちに似た1人の女の子の悲劇を描いたお話なのかな、と思いました。
結末は辻村深月さんの作品らしい終わり方でした。
胸のすくような、そんな結末。
人によっては辻村深月さんの作品の終わり方をあまり好まない方もいるのかもしれませんが、ちゃんと前を向いてこれからの希望を匂わす終わり方、私はすごくすきです。



それからこの作品、『スロウハイツの神様』に出てきたチヨダコーキとの関連がふわっとあります。
辻村深月さんの作品にはちょっとした人物のつながりがあることがあるのですが、それもちょっとした楽しみだったり。
主人公の女の子と男の子が、世の中の事件について語る中で、チヨダコーキ著の小説を元にした事件が出てきます。
これは多分、『スロウハイツの神様』の方でも描かれていた事件のことですね。

それから、その男の子のメールアドレスの一部にチヨダコーキの名前の一部が入っていたり。



それこそ何年か前に辻村深月さんの作品ばっかり読んでいた時期があるのですが、
なんだか久しぶりに『スロウハイツの神様』を読み返したくなりました。

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