『昨日星を探した言い訳』 河野裕 あらすじ 全寮制の中高一貫校・制道院学園に進学した坂口孝文は、中等部2年への進級の際、生まれつき緑色の目を持ち、映画監督の清寺時生を養父にもつ茅森良子と出会う。 「将来の目標は、総理大臣になることです」 中学生…
『わたしの美しい庭』 凪良ゆう ここ最近、私が一番新刊の発売を心待ちにしている作家さんの作品。 凪良ゆう作品、ありのままを否定しない優しさで溢れているので、本当に読んでほしい。 あらすじ 小学生の百音と統理はふたり暮らし。朝になると同じマンショ…
『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』 大澤めぐみ タイトルに惹かれて。 読み始めて冒頭の描写に一気に引き込まれてしまった。 駅のホームで電車の到着を待つ男女ふたり。 そのうち少女だけが、春からの新生活のために東京へ向かう。 なかな…
『なめらかな世界と、その敵』 伴名練 とても良質なSF短編集として話題になっていたので。 SF沼の淵をそわそわしながら歩く私には、この作品に含まれるオマージュのほとんどを理解することはできなかったけれど、それでもとても良い読書体験ができた。 現実…
『きみの世界に、青が鳴る』 河野裕 『いなくなれ、群青』から始まる階段島シリーズ最終作。 読み終えた今はただひたすらに、とうとう終わってしまった、という思いが強い。自分の目で物語の結末を見届ける決意がなかなか固まらず、実際に読み始めるまでに随…
2019年3月28日。 とある小説の感想記事のアクセスが僅かながら急に増えた。 小説投稿サイト「カクヨム」にて投稿された後、書籍化された『ひとりぼっちのソユーズ』。 kakuyomu.jp おしなべてどの記事も控えめなアクセス数のため、メディア化などをきっかけ…
『烏丸ルヴォワール』 円居挽 『丸太町ルヴォワール』に次ぐ、ルヴォワールシリーズ2作目。 言葉を以って論理を闘わせる私的裁判、双龍会の濃密さはもちろん、前作から引き続き登場する人物たちの人となりが掘り下げられる今作。 まずは言いたい。瓶賀流が…
『ギルドレ 1 有罪のコドモたち』 朝霧カフカ 『文豪ストレイドッグス』の原作者、朝霧カフカさんによる王道SF冒険譚。 単行本として刊行された当初から読みたい読みたいと思っていたら、いつの間にか文庫化していた。 文豪ストレイドッグス -1 (カドカワコ…
『涼宮ハルヒの退屈』 谷川流 装い新たに刊行された角川文庫版で読む、初めての涼宮ハルヒシリーズ3作目。 小説で読んだ内容を追う形で、少しずつアニメを見始めました。 小説を読んでいる時にはさらりと読み飛ばしてしまっていたキャラクターの所作に、映…
『教室が、ひとりになるまで』 浅倉秋成 Twitterで見かけて雰囲気が好みだと思い、手に取った作品。 いくつかの常識離れした能力が登場しながらも、あくまでもミステリの枠から外れることなく、主人公が犯人の動機を知った際の揺らぎと読後感がとてもよくて…
『いなくなれ、群青』をもう一度 4月末に発売予定、階段島シリーズ最終巻『きみの世界に、青が鳴る』を手に取る前に、シリーズ作品をもう一度読み返しておこうと思い立って。 思ったことを書き残しておこうと思って。 『いなくなれ、群青』から『夜空の呪い…
『丸太町ルヴォワール』 円居挽 あらすじ 古来より京都にて行われる私的裁判、双龍会(そうりょうえ)。 御曹司、城坂論語にかけられた祖父殺しの嫌疑を巡って、鮮やかな舌戦の火蓋が切られる。 状況的に不利な立場の弁護側の望みは、坂口論語が証言する「ル…
『涼宮ハルヒの溜息』 谷川流 装い新たに刊行された角川文庫版で読む、初めての涼宮ハルヒシリーズ2作目。 前作『涼宮ハルヒの憂鬱』の感想はこちら。 shiyunn.hatenablog.com ※ネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。 あらすじ 文化祭にて映画を…
『BISビブリオバトル部3 世界が終わる前に』 山本弘 発表者の本の紹介を聞き、「どの本が読みたくなったか」という基準でチャンプ本を投票で決するビブリオバトル。 そんな知的ゲームのような書評会を題材にしたBISビブリオバトル部シリーズ3作目。 本にま…
『フーガはユーガ』 伊坂幸太郎 誕生日に2時間おきに互いのいる場所が入れ替わってしまう双子の兄弟を描いた物語。 伊坂幸太郎作品を読んで育ったので、あらすじだけで『重力ピエロ』や『魔王』など兄弟が登場する他の伊坂作品を思い浮かべては、これは読ま…
『涼宮ハルヒの憂鬱』 谷川流 角川文庫より装い新たに刊行された涼宮ハルヒシリーズ。 今まで一切手を付けてこなかったのでこれを機に読んでみました。 私が知っているのは、主要キャラクターの名前と「普通ではない人」がいるらしいということ。 アニメ化さ…
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 14』 大森藤ノ 「ダンまち」シリーズ13作目。 リューに掛けられた疑惑を巡りダンジョンに潜ったヘスティアファミリアを待ち受けるのは、困難に次ぐ困難。 かつてない強敵を前に分断されてしまったベル…
『君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部』 武田綾乃 新潮文庫nexより、カヌー部に入部した少女たちがそれぞれの思いを胸に漕ぎだす青春部活小説。 初めてカヌーに乗る新鮮な喜びや、誰かとペアを組むということの難しさ、結果がタイムとして如実に現れるスポーツと…
『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』 城平京 原作小説をもとにコミカライズが展開され、つい先日アニメ化も発表された『虚構推理』。 kyokousuiri.jp 今回手に取ったのはその原作小説『虚構推理』の続編に位置する短編集。 それぞれが独立したお話で構成され…
『探偵は教室にいない』 川澄浩平 北海道の中学校に通う少年少女たちの日常をめぐるミステリ。 不安定な人間関係や幼く未熟であるがゆえのままならさが瑞々しく描かれた第28回鮎川哲也賞受賞作。 差出人不明のラブレターや突然合唱コンクールの伴奏者を固…
『朝比奈うさぎの謎解き錬愛術』 征木政宗 あらすじ 鳴かず飛ばずの探偵業を営む主人公の迅人。 自称の「もたれ体質」によって、何かと殺人現場に居合わせては疑いをもたれてしまう。 そんな迅人の窮地を救うのは、ストーカーとして彼を悩ます朝比奈うさぎ。…
『田嶋春にはなりたくない』 白河三兎 今の私の愛して止まない作家のひとり、白河三兎。 今回の作品は奇抜なキャラクターを中心にめぐる日常の謎ミステリ。 決して自分を曲げない田嶋春に、いい意味で振り回されっぱなしだった一冊。 あらすじ どんな小さな…
今やひとつのジャンルとして書店で展開されることも珍しくない「ごはんもの」。 ここで私がひっそり素晴らしさを語るまでもなく、じゅうぶん人気と支持を得ているジャンルではあるけれど、私は私のすきなものについてただただ話がしたい。 ごはんにまつわる…
いつかブログを更新しようと思い続けたままずるずると年末が来てしまった。 変わらず本は読み続ける一年だったので、いくつかブログで感想を書いたものもあればそうでないものもあるけれど今年の総括として今年のお気に入りの小説をまとめておきたい。 あま…
『あなたはここで、息ができるの?』 竹宮ゆゆこ あなたはここで、息ができるの? posted with ヨメレバ 竹宮 ゆゆこ 新潮社 2018-10-22 Amazon Kindle Twitterでこの作品のタイトルを見かけた時から気になっていた、竹宮ゆゆこさんの作品。 竹宮ゆゆこさんの…
『七月のテロメアが尽きるまで』 天沢夏月 九月八月と続き、天沢夏月さんの「月」が入った一連の作品ということ、そしてタイトルの「テロメア」という単語に惹かれて。 まるで回数券のように細胞分裂を繰り返す度に短くなっていき、細胞の寿命を表すというテ…
『地下にうごめく星』 渡辺優 shiyunn.hatenablog.com 以前、雰囲気に惹かれて手に取った『自由なサメと人間たちの夢』が私の中でスマッシュヒットで、今回の渡辺優さんの地下アイドルを題材にした作品もたまらず購入。 パワフルな『ラメルノエリキサ』や希…
『純真を歌え、トラヴィアータ』 古宮九時 オペラを題材にした小説。 主人公は、大きな失敗がもとでプロを志しながらも歌えなくなってしまった少女。 音大を辞め、普通大学へ入学し直した彼女はそこでオペラの自主公演を行うサークルと出会う。 純粋に楽しい…
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝』 暁佳奈 京都アニメーションによるアニメ化も評判だった『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。 今回私が手に取ったのは、その原作小説の外伝にあたる作品。 一部、アニメ化されたお話と重なる部分もあるのですが…
『あの日から君と、クラゲの骨を探している。』 古矢永塔子 クラゲ好きの私のセンサーに、今作品のタイトルが引っかかったので。 凄惨な過去のトラウマから、ありがちな「読後にタイトルに込められた願いに云々」というような惹句は信用しないことにしている…